見えていたけど気づかなかった俯瞰世界の価値と意味


最近よく考えていることがあって、自分というロボットがあったら、どんな人工知能のものになるんだう、ということ。
よく「自分がもう1人いたら」とかエゴな考え方する人もあるのですが、そういう楽したいとか仕事させたいとかそういうことが発端じゃなく、どんなロジックを使えば完成するのか、ということ。デザイン思考の掘り下げとしていろいろ考えます。
例えば、車の自動運転で使われる人口知能。あれって実際の車道で使われることに関して賛否両論や事故の可能性についてのネガティブもあると思うのですが、どういうロジックなのか気になりませんか? 何をもって車道と認識しその走行ラインを走るのか、何をもって障害物と判断し急ブレーキをかけるのか。
そこには、環境情報という構造の中に「自己」という情報があるのだと思います。
環境を測定するのに使用する自己の生態的測定法 エコメトリクス によって、目に見えている環境は、「意味」として捉えられ、「価値」として存在しています。


センサーに捕らえられた環境情報は、車体のサイズから計算された「適切な走行ルート」という道路とそれ以外の異物であり、邪魔な障害物は、加速や速度から未来予測された「到達してしまう悪い未来」です。
全ては、自分基準。
Ernst Waldfried Josef Wenzel Mach(エルンスト・マッハ)という物理学者(ちなみに音速を超えた単位のあの「マッハ」で有名な人)は、近代認知科学の考察も残しているのですが、環境情報と一緒に存在するもうひとつの情報、観察者自身の情報についてです。
James J. Gibson の学術本「The Ecological Approach to Visual Perception」に図や記述があるのですが。Wikipedia や 下記のページにもあります。
■Mach: Antimetaphysische Vorbemerkungen(ドイツ語)
http://www.payer.de/fremd/mach.htm
このソファに深く腰掛け足をオットマンに投げ出している下半身が見えている図。ペンを持った自分の右手も見えてますが、画像の右と上を額縁のように覆う歪んでぐにゃっとなったもの。これは自分の鼻と瞼です。片目をつぶってみると分かるのですが、左目単体で見た映像ということになりますね。
この図が何が大事なのかというと、実は私たちはこのように視界の一部に自分の身体を捉えているにも関わらず、それを自覚していないということです。たぶんほとんどの人が、そういえば見えてるなと思ったと思います。
視界には常に自分自身の身体、とくに鼻や瞼を常時目で見ているにも関わらず、邪魔だとも感じないし見えていることさえ自覚が無いのは面白いですね。
これは、自分の鼻など身体の一部が環境ではなく自分自身と知覚しているからです。見えている映像情報から自己を認識し、環境から除外するというシステムになっているのだと思います。
逆に環境から得られる自己の情報もあります。
遠くから手前に近づいてみえる物体からは、移動方向や速度や加速度の情報が得られます。
こうしてみると、自分と世界という環境は、相互に補っている情報の関係といえますね。
さて、冒頭の車の人工知能による自動運転というロジックを考えていたことですが、不思議に思うことがたくさんありました。
横断歩道は、道路に突然現れた時に分かりやすくシンボル的に歩行者の存在を匂わせ危険を感じさせてくれます。あのゼブラのデザイン、良いですね。でも実際には、あまり活用されずに歩行者は自由に関係ない部分の道路を横切っていきます。
バイクは2車線の間を縫って走っていくし、速度の流れに乗らない車は渋滞を起こしていきます。
なんだか、僕ら人間はもうちょっと上手に世界を構築できたんではないかな、と改めて思います。

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