あらゆる「マップ」のデザインは、デザイナーがとっかかりやすく見つけやすい課題です。
2015年レッド・ドット・デザイン賞を受賞した「Groundarium」というコンセプトモデルも、そんな課題と問題解決方法のひとつ。
「Groundarium」のデザインコンセプトは、「ドーム型3次元地図」。
若干、言葉が先行している感がありますが、レッドドットは、そういう賞(実現性を考慮しないアイデアの賞)です。
■Groundarium | Red Dot Design Award for Design Concepts(英語)
http://www.red-dot.sg/en/online-exhibition/groundarium/
ドーム型という表現は、本人が見上げた頭上にプラネタリウムのように画面があり、そこに目的地についてのルートが表示されているイメージです。
このイメージは上記の URL の先にも説明されていますが、言葉通りの意味です。
繰り返しますが、このコンセプトデザインにはプロジェクトの実現性が考慮されていないため、プロダクトデザインとしての問題は全く無視されていますので、なに言ってるのか分からない人も多いと思いますが…。
例えば地下街、駅の地下のような地下空間で迷った際に、地上の情報というのは手に入りません。
目的の出口やビルがあったとしても、これが地上なら周辺のビルを目印にすることもできるのですが、無機質な壁だけの風景ではどこをどう進むのか全く分からない状態です。
空を見上げても地面の層を透かすこともできず天井が見えるだけ。
そこで、「Groundarium」のデザインコンセプトは、プラネタリウムのようにドーム型画面の中に地上のビルの様子などが映っていて、目的地が3次元方式で見えているとしています。
前後左右、上下に動いてもドーム型画面の中に目的地が見えているので、迷わずに進むことができるというものです。
また、地上で雨が降っていたとしても地下では分かりません。
このドーム型画面には気象条件も反映されており、雨が降っていたら雨が降っている様子が画面に映り、利用者は事前に傘を用意するなどできるというものです。
また、近くの建物は大きく表示され、遠い建物は小さく表示される。
距離感を発想させるような「演出」も。
これはドーム型という幾何学的な図形だからできる表現ですね。
あまり面白いアイデアとは思わないですが、問題・課題の見つけ方はからの解決手段へのアプローチは面白いと個人的には思います。
スマホにはジャイロセンサーが搭載されており、画面の中の仮想空間に3Dモデルを描画すればできそうですが、最終的には2次元画面で見てしまっているので、ここまで実現してしまうと夢の無い話ですね。
地図という情報の整理にはまだまだ「分かりにくい」という問題が多々あり、解決するための表現の可能性が多く残されています。
いつの時代になっても人は迷子になり、辿りつけずに諦める。
風邪と同じで、技術が進歩しても治ることのない永遠の課題なんでしょうか。
こういった問題の解決方法を考えるのも面白いですね。
コメント