スマート工場見学と博物館


ヤマザキマザックのプライベート工場見学に行ってきました!
写真はマザックの製品をレゴで作って展示していたもの。遊び心ありますね。これオリジナルのプラモデルも売ってたんだけど5千円くらいして。欲しかった…。めちゃくちゃ欲しかった。
ヤマザキマザックは IT関連業界では知らない人も多いのですが、プロダクトデザイナーの世界では工作機械メーカーとして日本トップの企業として知られています。一般の人は「メーカーの工場は汚い」というイメージを持つ人も多く、多くの町工場が実際にそうだと思うのですが、ヤマザキマザックは業界に先駆けて自社工場をスマート化し設備を更新し、白亜のように美しい工場として有名です。
「工場はショールーム」をキーワードに、稼働しながらもショールームとしての機能も持つ工場の見学を軸に、製品の良さの体験・囲い込み・ファンづくりといったビジネスモデルを展開しており、昔ながらの営業手法とは一線を画しています。マーケティング戦略としても非常に気になる企業です。そしてそんな企業が売上高世界第一位なのに非上場というよく分からない経営もしているのも気になるところ。
今月には「ヤマザキマザック工作機械博物館」をオープン、並びに第一工場と第二工場の見学会が大々的に開催され、商社の方にお勧めされたため見学に行ってきました。



エントランスに入ると、でーんとフェラーリが。社長の所有していたものらしい。マザックはF1のオフィシャルサプライヤーとしてフェラーリやマクラーレンなどのレーシングチームに採用されているそうです。聞いた話では社長様は「一流になるには一流のものを所持する」というのがモットーなのだそうです。財力ある人しか言えないモットーですね。

この World Technology Center というのが施設名。機密情報もあり、撮影は禁止とのことなので写真はありません。WEBサイトには写真がたくさんあるので様子が分かります。
https://www.mazak.jp/news-events/upcoming-events/report/discover2019_report/
この部分は完全にショールームになっていたのですが、普通と違うところは電源が入り稼働状態になっているところ。実際のイメージがわきやすい。また実際に加工がおこなわれた成果物となるパーツが各所に置いてあるのですが、細かいモールドやアールなど熟練工の手作業のように再現されており、「職人は仕事がなくなる」という未来は既に来ていたんだなと感じました。逆にいえば「ものづくり」は考える部分と実行する部分が重要になり、製作は機械に任せてしまえばいいのでアイデアやひらめきがこれからのデザイナーには求められることになります。
スマート工場の方は白く美しく、工具箱も整頓されておりとても綺麗。外国の特撮テレビ番組「サンダーバード」とコラボしたビジュアル展開もあったのですが、まさに映画や特撮番組に出てくる秘密基地といったイメージです。ちなみにデザインは青島設計らしい。
IoT による管理はもちろん、ユニクロと同様の RFID タグによるトレーサビリティも備えられ、無駄のないイマドキの工場となっていました。正直、センサーとは違う RFID は全く無関心だったのですが、仕組みを勉強しておいた方が今後のものづくりの現場では役立ちそう。今後の普及によっては GPS をひっくりかえすこともあるのかなと考えられます。

ホテルのラウンジにのようにビュッフェスタイルで自由にランチをとれるようになっており(ホテルのようにフロアサービスの人も大量に立っている)、温かい食事をいただくことができました。なんというホスピタリティ。
「工場見学で来ても工場を見ずにずっと食堂にいる人がいるんじゃない?」と聞いたら「一般の方には提供していない」ということでした。そりゃそうですね。

「ヤマザキマザック工作機械博物館」の方も見学。
この博物館は地下にあるそうで、このピラミッド形の建物は階段とエレベーターだけの入り口です。エヴァンゲリオンの基地みたい。
地下熱を利用した空調のいらない省エネ博物館──という建前の地下工場ですが、会社の偉い人いわく、昔は温度を厳格に管理しないといけないワークの加工を行っていたため外気の温度に影響されない地下に工場を作ったのですが、時代がレーザー加工に移行して温度の影響が少なくなったため地下工場の意味がなくなり、その施設を今回改装しているんだよとのことです。これナイショな!

僕的には活版印刷とかタイプライタの展示とか、テンション上がります。

僕の心の師匠、天才ダ・ヴィンチのねじ切り旋盤。
デザイン歴史を勉強した人はちゃんとわかるのですが、「実在しない幻のデザイン」です。
レオナルド・ダ・ヴィンチが何世紀も前に設計図を残しているのですが、当時の材料や技術では強度などに問題があり作ることが不可能だったのです。現代の技術でようやく作れるという。確か「設計図だけの橋」もどこかの大学が3Dプリンタでこの間立証してましたね。ダ・ヴィンチの鬼才ぶりに改めて驚かされるエピソードですが、当時の彼の悔しさを思うと泣ける。

何故だかよく分からないのですが、蒸気機関車「D51」の展示もありました。大きなギアが組み合わさっている構造とかめちゃくちゃ興奮します。
運転席にも入ることができ、分かりにくいのですがレバーを引くと汽笛を鳴らすことができます。ポッポー。

サイネージを使って画面を触る操作でロボットを作るというコンテンツもありました。面白そうなのですが UI が壊滅的に分かりにくく、粘った僕意外にロボットを完成させられた人いないんじゃないかというレベル。そしてこの僕のつくった「さいきょうのろぼっと」を見てくれ。

展示物の横にはサイネージをタッチすることで詳しい説明が分かるような仕組みに統一されていました。英語対応だけはされていました。

導線はしっかりしていて、漏れなく見学することができるようになっています。

量産化された大衆デザインとしての代表、フォード。

飛行機の展示もあります。ゼロ戦かと思ったら、T-6G という機種だそうです。

もちろんヘリコプターもありました。年代に沿ってデザインと工業機械を見ることができ、いろいろと考えさせられます。
原始時代の単純な道具を作っているのではなく、現代人は物理や情報学など勉強した上で考えることができるのだから、もっと最適化できて可能性がある。

ものづくり体験をやっている部屋もあった。時間があれば参加したかった。
全体的な感想として、行く前は疑問に思っていたが行ってみたらとても楽しかったし面白かった。
ものづくりに携わる人・メーカー勤めの人はテンションも上がるし勉強にもなると思います。
■ヤマザキマザック工作機械博物館(公式)
https://machine-tools-museum.mazak.com/

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