横線を入れただけで売れるマグカップに【デザインの力】


(C)Yanko Design
東京モーターショーを間近にひかえ、各自動車メーカーがコンセプトカー等をプレスリリースに出してきました。
そしてそんな中で必ず起こる論争は、「デザインが良い」「デザインが悪い」。
好きになる芸能人や異性のタイプが千差万別のように、他人同士の好き嫌いは統一されることがなく、相容れないもの。
人という種が存続と進化のために、遺伝子レベルでのゆらぎと思考の個体差を生んでいるといえばそれまでなのですが、人間観察という面ではこの手の話題は面白いですね。
競争の中で磨かれ、淘汰されていくデザインは素晴らしい結果を残すと思うのですが、ぐうの音も出ないような、万人が認めるデザインというのも、稀に出てくることがあります。
大抵シンプルに簡潔で、称えようもなく否定しようもないような、オンリーワンなデザイン。
Kim Keun Ae さんのデザインした「Drop Rest Mug」が、そんなデザイン。
写真のマグカップなのですが、側面に水平にスリットを入れただけのものです。


理系出身なら、「うわぁ、なるほど。やられたなぁ」と思うデザインではないでしょうか。
下記サイトで紹介されているのですが、写真から使用感を伺えると思います。
Drop Rest – Mug by Kim Keun Ae » Yanko Design(英語)
http://www.yankodesign.com/2013/05/29/a-drip-free-world/
これは、テーブルをコーヒーで汚さないデザインの入ったマグカップです。
コーヒーを飲んでいると、マグカップ本体側面を伝ってコーヒーの雫がテーブルをに付いたり輪っかを作ったりしてしまうことがあると思います。
まぁ「コースター」を下に敷くことで解決するですが・・・。
他のツールを使わないで、魔法のようにテーブルを汚さないようにしているところがクールです。
理屈は高校レベルの物理学を経験した人なら誰でも理解していると思うのですが(それ故に、なぜこのデザインが最初から無かったのか不思議)、表面張力で垂れたコーヒーが細溝の中に落ち、そのまま保持するという仕組みです。
デメリットは、このスリット部分が洗いにくく汚れが溜まりやすというところ。
ただそういう意味では、フォークの間やナイフの刃のギザギザ部分なんかも細かくて洗いにくいから衛生面では似た感じだと思うのですよね。直接口の中に入れないし。
ビジネスタイムでのデスク上では、大事な書類が多くコーヒーで汚したくないので、こういうマグカップが大活躍すると思うのです。
単純に横に溝を入れただけで「人の役に立ち」「売れる商品」にしてしまうというデザインの力は凄いですね。

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