ヒックの法則・フィッツの法則、プレグナンツの法則など、デザインという技術の中にも古代から紐解かれた法則が存在します。既存の概念に捉われない新しい挑戦や、従来かあの問題解決の役割を負うところがあっても、それとは違うところで考え方のように落とし込まれているルールがあることも事実です。
1人が作って発信してもそれはデザインではなく、受けとる側が理解したところで初めてデザインが成立するという考え方が主流になってきていますが、デザイン専門家だけではなく一般市民が触れたところでデザインが終着するという概念は、デザイナーのマインドとして素晴らしいと思いますね。
そんな法則とは全く関係ないところなのですが、「マーフィーの法則」をご存知でしょうか。
“If anything can go wrong, it will.”、つまり失敗する可能性があるときは失敗する、という法則です。
経験がある方も多いと思うのですが、これは失敗しないなというケースは成功するし、失敗しちゃうんじゃないかなと思った時には大抵失敗する、というものです。
その中には秀逸な法則もあり、
“落としたトーストがバターを塗った面を下にして着地する確率は、カーペットの値段に比例する”
というものは「マーフィーの法則」という存在を上手に表現した秀逸な例としてよく引き合いに出されます。
他にも例をあげると、
・机の上のコーヒーは、いつも最も重要な書類の方に向かってこぼれる。
・満員の時、自分の立っている前の席だけが空かない。
・車で急いでいる時、車線変更すると余計に進まない
・傘を持って家を出た日に限って、雨が降らない。
・忙しくなるとパソコンが故障する
・iPhoneを買うと、すぐに高確率で新しいiPhoneが発表される
思いつくだけでも、けっこう「あるある」がありますね。
■マーフィーの法則 – wikipedia
実際にはジョークな法則なので、科学的物理的に立証されているものはひとつもありません。
ちなみに前述のトーストの件では、アストン大学の教授が真面目に研究し「トーストの転落 マーフィーの法則と基本的定数」という論文を発表、バターを塗った面を上にして着地させるためには高さ3メートル以上のテーブルを使うべきだという結論を出し、イグノーベル賞を受賞しています。
つまり、「値段」ではなく「高さ」が必要だったということですね。
高価なカーペットでも低価格なカーペットでも、バターで汚れる確率は変動しないということがみてとれます。
ようするに、「高価なデザインのカーペット」でも、「低価格なデザインのカーペット」でも、どちらでもバタることは一緒ということです。
なので結論として、デザインに値段は比例しないということですね。
真面目な話、市場に出たデザインは、デザイナーの手から離れたところの評価でだいぶ値段は変わると思います。
ブランドを形作る企業のコンセプト、製造側の品質管理と使用する素材の耐久性。販売戦略での広告費のかけ方、意匠や包装、原材料のコスト。
熟練した天才は短時間で作ることができ、初心者が長時間をかけてやっと作ることができたとしても。
ブランドの考え方では初心者が作った品質のものを市場に流すか流さないかで市場の値段は変わるでしょう。
デザインに関係なく作る職人(クラフトマン)の技術で値段が変わり、高いものはたぶん品質が良いということですね。
ただし、実績を積んで仕事の依頼が多数舞い込んでくるデザイナーは「仕事を選ぶことができる」ので、高い報酬を与えて仕事を受けてもらうようにするという世間の常識はありますね。
安価でも多くの案件をこなし、自分の成しえた実績を整理しておくことは大事です。
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