インターネットって、すごく便利ですね。
自分の知りたい情報が、検索で簡単に見つかる。
知らせたい情報を簡単に共有できる。
仕事の仕方も変わってきていて、特に WEB 業界ときたら、「Google先生」という言葉もあるくらい、インターネットで検索して知識を得てスキルアップするという手法をとります。
いまに親が子に教えることなんてなくなるんでしょうか。
そういえば、遠い親戚の子とキャッチボールをしようとしたら、ボールの投げ方を知らなかったな・・・。
WEBは、わりと若い業界ということもあってノウハウが確立されていないのですが。
印刷業界や紙媒体のデザイナーともなると、長い歴史を誇る業界なので、そのぶんプロを育てるには10年以上かかると言われるほど、覚えなくてはいけないことが山積みです。
その「ノウハウ」には、先人が失敗した経験とその対策が満載で、業務時間を短縮するような Tips なども含まれています。
印刷機の規格やインクの発色もあるので、業界全体がフォーマットを共有するなど統一した言語のような文化が存在しています。
そのため弟子入りなどの経験なくして仕事ができないようになっています。
逆に、WEB という業界は覚えなくてはいけないことが少なく、困ったらその場で検索して「その場をしのぐ」という仕事になっているかと思います。
当然、いきあたりばったりの仕様や苦しまぐれの発想、検討違いの対処方法など、時間が経てば経つほどカオスになる要素が山盛りです。
そんな仕事のため作った後に、
「うまく動かない(できない)けど、どうしよう」
↓
「検索したら解決方法あったので対処しました」
というパターンが多いです。
WEB業界の人は「え? それ普通じゃないの?」と思う人が多いと思うのですが・・・。
他業種の人が聞いたらびっくりする話です。
これが例えば料理の話なら、失敗した料理に後付けで科学調味料をわんさか入れて味をごまかした皿が出てくるかと思うと、異常です。
スコットランドに、ジョン・ネイピア(John Napier)というバロンがいました。
ネイピアは物理学者・数学者・天文学者として生涯を生き、最大の偉業は「対数」の発見です。
■ジョン・ネイピア – Wikipedia
対数、というのは・・・。
得意の Google 検索をしていただけたらと思います。
ネイピアによる、この「対数」の概念への到達により天文学は劇的に進歩しました。
当時の天文学者は、それこそ「IT土方」と一緒。毎晩が徹夜の連続。毎日デスマーチを繰り広げながら、船乗りのために膨大な計算を手作業でしていました。(航海するためには太陽や星がどの位置にあるかの正確な天測歴を求める必要があるため)そのため働きすぎる天文学者は寿命が短かったとマジで言われています。
ネイピアの「対数表」は難しい計算を楽にし「天文学者の寿命を2倍にした」そうです。
当時の天文学者のライフスタイルを変革させるどころか、生命を守ってしまうのだから、素晴らしい発明・発見ですね。
これが現代なら、パソコンの前で検索して終わりです。
あっけないですね。
「パソコン前」という場所は、誰も到達できなかった遠き理想の桃源郷といっても過言ではない気がしてきました。
ちなみに天測歴を使って現在位置を求めるスキルですが、現在なら GPS で簡単に取得できるものの、「航海士」になるためにはこの計算方法ができないと駄目だそうです。
これは非常時や、いざ問題が起きた時に対処できるようにするためらしいです。
自衛隊などでも、電話など通信手段が満載な現代であっても朽ちたスキルである「モールス信号」の勉強が必須なのも、同じ理由ですね。
いざという時に対応できない人と一緒に仕事をし、生命を預けることができますでしょうか?
デザインはプロセスが大事。
Google先生から得た結果のコピーだけでは、同じ結果を同じように得ることはできません。
・・・という話をよく聞くのですが、逆に苦労したがる人なんて皆無なんだから苦労を苦労と思うかという価値感それぞれだと個人的には思うのです。
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