デザインする中でよくあるミスというものには、「継続性の欠如」というものがあります。
A という製品を販売拡大するために、改良することになった。
改良を重ねて価値向上したものの、形状は若干変更されることになった。
次回生産ぶんから 形状変更した B というバージョンで市場に流したい。
結果、市場には A と B という2種類のバージョンが存在し、修理補修品用のパーツとして工場には両方のパーツの生産と、両方を在庫として置かなければならなくなり倉庫は2倍のスペースが必要になった。
修理工も修理手順を2通り覚える必要ができてしまった。
工業デザインあるあるですが、在庫をなるべく持たないようにすること、なるべく生産ラインが変わらないようにすることというのはビジネスに関わる大きな問題です。
そのために従来品にアタッチメントを付けるだけで良いようなシンプルな改良になるように、設計デザインする側は試行錯誤をしなくてはいけないです。イメージ形状を変更するのは簡単ですが、いかにパーツ数が少なく流用させる形で作れるデザインにするかはセンスの問われるところだと思います。
最近の自動車メーカー家電メーカーでは生産数を計画的に決めておいて、その生産数が終われば工場ラインを動かし続けないという方式が多いですが、在庫に関してはどこも悩みの種だと思います。
ブランドデザインにおいても「継続性」は非常に重要。
ブランドというものは長い時間をかけて浸透していくもので、思い付きで変えていくようなものではなく。
デザイナーも一貫性をもって慎重に構築していく必要があります。
ロゴを大きく変えてしまったりというのもよく見るのですが、正直あんまり良くないですね。
あと、社長が変わると「前の社長の決めたことを止めたい」という理由でいろいろ CI/VI が変わったりするものなのですが、あれもどうなんですかね・・・。
まぁ、
デザイン会社が変わる → デザイナーが自分色に染めたくて変更してしまう
担当が変わる → (以下略)
みたいに、どこでも同じなのですが。
やらないならやらないで、なんだか仕事してないみたいな感じになるし。
「変えてはいけない部分」というのをはっきりさせていないデザインというものは、遅かれ早かれこういう問題はでてきます。
ブランドイメージをはっきりと明文化する、デザインをテキストで説明する能力は、新しいものを構築する際に必要不可欠です。
デザイナーには職業病なのか顕示欲の塊の人が多いですが、井戸の底から上の世界をもっと覗くことができるようにしたいですね。
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