ゴミ置き場をデザインで変える。「富士山ゴミ袋」

(C)MAQ inc.
デザインという仕事には、甘美な響きがあります。
お洒落でクールで洗練されていて。
「アップルストアで売られている iPhone」「表参道のインテリアショップで売られるお洒落なアイテム」。そんなイメージなのではないでしょうか。
そんなデザイナーがゴミ袋をデザインしたなら、お洒落な柄がプリントされた、持っていても恥ずかしくないゴミ袋になることでしょう。女性誌なんかに「これが流行のゴミ袋」なんて掲載されて、アンテナの高い女の子たちが、我先にショップに買い求めに走る。そんなイメージも浮かびます。
ただのゴミ袋を「売れるゴミ袋」に変貌させた。紛れもなくデザインの威力です。
しかし社会から求められるデザインとして考えたらどうなんでしょう?
単にアイテムやファッションという単発のものではなく、ゴミ問題を解決するどころか「毎日のゴミ出しが楽しくなる」「ゴミを出しにいく作業や時間を面白い気分にする」そんな風に、人間の生活を変えるような視点からデザインをしたなら──。
それが「ゴミ置き場をアートにするプロジェクト」です。


ゴミ置き場をアートにするというプロジェクトの一環として制作販売された「富士山ゴミ袋」。
そのまんまのアイテムで、普通にゴミ袋です。
プロジェクトがここへきて注目されていたのは、富士山の世界遺産登録の影響が大だと思います。
この「富士山ゴミ袋」、プリントが施された袋ではありません。
むしろ、普通のゴミ袋と変わらないような・・・。
「富士山ゴミ袋」は 10 枚入りのセットで、青が 9 枚、白が 1 枚入っています。
普通にそのへんで購入できそうな袋ですが、とりあえずセットを購入すれば簡単に一式揃うようになっています。
そして、このセットでできあがるのが、以下の写真。

(C)MAQ inc.
つまり、1枚の富士山のデザインではなく、10袋が集まってようやく立体的に富士山ができるのです。
これがゴミ置き場にあったら、「おっ」て思って注目してしまいますよね。
このデザインの素晴らしい点はいくつかあるのですが、参加型というところも大きいです。
この形を作るには、ゴミを出す人たちがちゃんと綺麗に積み上げていかないとできません。
車の中からポイっと放り出しては完成しないのです。
つまりゴミ出しについてかなり気を付けて行われるので、結果的に街の美観にも繋がるという。
この「富士山ゴミ袋」のデザインは、「GARBAGE BAG ART WORK」の山阪さん。
GARBAGE BAG ART WORK のサイトには、毎日のゴミ出しを楽しくさせ、ゴミ問題を楽しくさせるデザインが沢山あります。
こんなゴミ置き場が近くにあれば、今日はどんなだろうと必ず寄ってしまいそう。
GARBAGE BAG ART WORK | ABOUT PROJECT(公式)
http://www.gba-project.com/project/
多少野暮ったくても、こういうシンプルで笑顔になってしまうようなデザインの方が、僕は好き。
ヴィジュアルが大切なら、グラフィッカーが仕事をすればいい。
ゴミを捨てる市民自身がデザイナーにしてアーティストとなり完成される富士山。
発想の美しさと、景観の美しさ。
ひさびさに完成度の高いデザインを見た気がします。
■富士山ゴミ袋|エコグッズが満載!!MOTTAINAIオフィシャルECサイト
http://greenz.jp/2013/09/13/gba-project/

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