家の細部に宿るデザイン思想


誰かに何かを作ってもらうとしたら。
それは見た目? それとも中身?
まぁ、「どっちも」でしょうけど。
最近は、高断熱・高気密の住宅が主流になっているそうです。
月々の光熱費など、生活費のコストを下げるのに必要な要件。
しかし「高断熱」「高気密」と言われる家が、最適なパフォーマンスを生んでいるかといえば、必ずしもそうではないそうです。
高気密高断熱の家に住む人でも、暑かったり寒かったりでエアコンやストーブを使い、結局コストが変わらないということもあるとか。
高価な建築材・素材を使用し、壁にも厳重に完璧に施工を施したというのに、それは何故でしょう。
それは「壁」に理由があるのではなく。


「窓」にあるからです。
あんまり性能について誰も気にせず、どうでもいいとないがしろにされている「窓」が、実は結構重要です。
窓も複層ガラス(ペアガラス)で断熱機密も充分だ! と思う人もいると、そこでもないです。
窓ガラスではなく、「窓枠」の方。
設計の中でも、わりと注目されない、この窓枠が「結果」を左右します。
自分の家を確認すれば分かると思いますが、多くの人の家の窓枠はアルミでできていると思います。
いわゆる、「アルミサッシ」。これが通常。
でもアルミという素材の特性を思いだしてみれば、または実際に触れてみたら、どうでしょうか。
寒い日に冷たかったり。
暑い日に熱かったり。
つまり、現代に普及しているアルミサッシのところが、ネックになっているのです。
どんなに壁を頑張っても、窓に使われる建材が知らず知らずのうちに問題になっているという。
哀しい結果ですね。
熱伝導率(Wikipedia)
高断熱高気密を実現するには、高性能な窓サッシを導入するのが必要です。
注文住宅では建材まで指定できると思いますが、建材を大量購入して使用するハウスメーカーでは選択の幅が減ると思います。
ウチは一条工務店ですが、超気密・超断熱を売りにするだけあって、「高性能樹脂サッシ(遮炎)」という、複層Low-Eガラス(中間層が最高の12mm、+空気よりも断熱性の高いアルゴンガスを注入したもの)になっていました。
そのせいで、大きな面積の窓が選べないというデメリットもあるわけですが・・・。
■低い断熱性なぜ放置、世界に遅れる「窓」後進国ニッポン  :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO78836460U4A021C1000000/
■高性能樹脂サッシ|外内ダブル断熱工法[省エネ性能]|耐震住宅の一条工務店
http://www.ichijo.co.jp/technology/d_energy/sash/
実際に話を聞いたのですが、一条工務店の樹脂サッシについては、他のハウスメーカーや工務店が、
「オーバースペックすぎ」

と口を揃えて言うレベルのものでした。
寒冷地などの外温との差が劇的にあるようなところで無類の効果を発揮するスペックのようですね。
ぶっちゃけ、この超高性能なサッシがなければ、もうちょいコストを抑えられるみたい。
図面から計算すると、小さい窓で約 4 万円っぽいですね。
ちなみに玄関ドアは 25 万円です。
うーん?
最初に知ってれば、お財布の中身を考えて、もうちょい窓を小さくしたり少なくしたりして設計してたなぁ。
窓が大きくて数が多いと、カーテン代もかかるし。
まぁ、知識さえあれば。
こういった問題に対処できるということですね。
デザインも一緒の考え方。
美しい装飾でもなく。
ガラスの性能でもなく。
ちっぽけで気にも留めなかった、窓枠。
そんな窓枠が、自分を切り取る世界の住み心地を決める、という、そんなお話。

新築を検討される方は、読んでみてね

デザイナーズハウス
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