日本にはあまり馴染みがありませんが、ウェディング関連や欧州料理店関連ではよく見かけるフォントといえば、スクリプト体です。
スクリプト体とは、日本的に言うと筆記体。
オススメのスクリプト体は? 何を選べばいい? という質問には、僕が導き出す答えは「Sherry」と「Zapfino」。
Sherry(シェリー) の面白いところは、Andante、Allegro、Volante という「ファミリー」が存在し、それぞれ音楽のように緩急をつけて使用することで、まさに「テンポの良い」字面を表現できるのです。会話の中で、手紙の中で一番書きたい部分を力強く表現したいと思うのですが、それができてしまうという、なんともオサレなデジタルフォントです。
このコンセプトだけでも、ご飯3杯くらい食べられます。
Zapfino(ツァップフィーノ) の方は非常に有名で、世界的カリグラファーのヘルマン・ツァップ氏がデザインしたものです。ちなみに開発には日本人の文字デザイナー小林章さん(フルティガーにも関わったすごい人)も関わっています。
こちらはオルタネートと呼ばれる「同じフォントなんだけどバリエーションが違う」書体を多く持っていて、組み合わせることで本当に手描きしたかのような変化のある文字組ができます。
Zapfino の誕生に関しては、小林章さん自身が多くの書籍で語るとおり、ツァップ氏の80歳の誕生日パーティーのためにCDで本人に手渡されたものです。ライノタイプ・アリブラリ社の社長曰く「短時間で最も売れたフォント」ということで、その人気が伺えますね。
ちなみに Zapfino は、MacOS X に 標準装備され、無料で使えるけどすごい精度のフォントとして親しまれています。
■Hermann Zapf 公式サイト
僕は中学の時に筆記体の授業を受けていないので(宿題やってこないやつは授業に出なくていい、と言われたので仕方なく出ませんでした)、筆記体についてはものすごい危ういのですが、カリグラフィはタイポグラフィと違って非常に高度な技術だと思います。
独特のリズムってやつ? サッカーで例えるとブラジル人っぽいフェイントというか。
なかなか後天的に習得できるものではないと思うのですよ。
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