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日本国内にはいろんな協会や学会が立ち上がっていて、「日本ピクトさん学会」なるものまで立ち上がっています。
最近はこの「ピクトさん」がマイブーム。
■日本ピクトさん学会
http://www.pictosan.com/
「ピクトグラム」という言語に頼らないで視覚的な単純構成の図で表現する技法です。
よくアイコンやシンボルマークに「英語や数字が入れて、より分かりやすく」みたいな設計も聞くのですが、アルファベットや英語にそこまで馴染みのない地方だと全く分からないので、グローバルな視点で考えれば、あんまり親切設計でもありません。
ピクトグラムはそんな弱点を除いたサインで、空港や交通機関、危険を促す注意文などで、国籍や年齢に影響されない伝達方法として活用されています。
有名なのは非常口の緑色のサインで、国際標準にもなっています。
暗闇でぼんやりと光る、あの緑色のサインは通常時にはなんとも思わないのだけど、非常時には分かりやすく大活躍します。
あのドアを開けて外に出ていく人間のマークは、認知率がかなり高いと思います。
でも、ちょっと視点を変えて見てみると・・・。
非常口のマークの中の白い人物は、ドアを開けて今にも脱出しようとしているところ。つまり今まさに危険がせまっている状態です。
他にもピクトグラムの中の人物(=ピクトさん)は、飛び出したところを車にはねられたり、感電していたりと、注意を促すメッセージの中で、いろんな災難に会っています。
そんな風に自らを犠牲にして「こういう風にならないように気を付けて!」と注意喚起をしてくれているのです。
なんて素晴らしい人物像なんだ、ピクトさん!
「日本ピクトさん学会」では、こんなピクトさんに敬意を払い、研究するというスタンスでまとめられています。
なるほど、そういう視点で来たか、とも思うのですが、確かに今までは単なる注意喚起の記号だったものが、リスペクトするに値する人物像としてのイメージだと思うと、街のいたるところにいるピクトさんが気になってしまってしょうがないです。
危ない、ピクトさん逃げてー、と応援さえしてしまいます。
なんだかテレビの中のヒーローを見ている子供みたいな気持ちですね。
「ピクトさん」という概念をスタートさせた人はグッズ展開までされていて、意外に人気みたいです。
こういうビジネスもあるのか! とびっくりしましたが、目の付け所というのは大事ですね。
「ゆるキャラ」の概念にも似た人気の可能性を感じます。
ピクトグラムは装飾ではなく余計なものを削っていく引き算の手法なので、僕の求めるものの最終形にかなり近いと思います。
こういうのの形を考えていくのは、イメージを凝縮させていくようで、コンセプトを実現していくようで、すごく楽しいですよね。
↓線が細くて空間を使いやすく、タイポグラフィとも相性が良いので、僕もグラフィックの中では割と多用します。
こういうシンプルで、使い方次第でいくらでも面白くできる素材が好き。
面白い人の数だけ世の中が面白くなって、クスッとできるデザインに出会う喜びはいいものです。
■ピクトグラム – Wikipedia
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