経験→体験

デザイナーは、哲学者であり数学者であり物理学者であり、歴史学者で心理学者で詩人で…etc。
例えばレオナルド・ダ・ヴィンチが高位の科学者でもあり「万能の人」と呼ばれたように。
万能になればなるほど、霊感にみちたりた成果物を世に送りだすということ。
表現力・発想力は神様が与えてくれた才能やセンスではなく、自分たちが苦心して得た知識や知恵が与えてくれる、勇気ある力だからです。
現代人は、過去の偉人が苦労して研究結果として残したルールを、学問として体系的に取得できるという点で非常に恵まれています。
過去の偉人の言葉を口にするだけで、自分が偉い人間になったような錯覚さえ起こしてしまうほどに。


普段何気なく目にしている対象物にも、実は偉人たちが伝承してきた細かい法則が表現されています。
そんなルールの例としてよく出されるのが、フランス国旗
「アンシャン・レジーム」と「ベル・エポック」の狭間の時代であり、啓蒙思想と印象的なフランス革命後に作られたこのトリコロールの国旗は、自由(青)・平等(白)・博愛(赤)を表現しています。
この3色の幅はすべて同じに見えますが、実はフランス国旗は各色の比率が厳格に決められていて、青が37%、白が30%、赤が33%と決められているのです。(※現在は、等幅に規定されたらしい)
これは人間の知覚で赤の方が大きく見えるという暖色・寒色の錯覚から、わざと赤を狭くして、均一に統一感を感じられるようにデザインされているからです。白は赤や青との関係では、さらに前進色であるので、一番狭く設定されています。
マクドナルドの企業ロゴなども、左右対称に見えて実は非対称になっていたりします。(片側が太い)
これも錯覚を補正させる技術が使われています。
デザイナーの仕事は、きちんと整理整頓させたり規則正しい図形を書くことではなく、見る人に嫌な気分をさせたり疑問を抱かせない体験をさせることでもあるのです。

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