PDF形式のファイルは非常に便利で、どの企業でも PC のセットアップ時に必ず導入するプラグインのひとつだと思います。
PDF って設計思想も非常に良くて、ピクセルという物理的なサイズ感の異なるモニタ画面と紙というサイズの位相を「紙への印刷サイズに最適化した状態を保存する」というアイデアで、印刷に失敗しないようになっていて。この人間が犯すエラーを回避させたという意味で劇的に世界を変えたフォーマットといっても過言ではないです。
これってスゴいことなんですよ。
どれぐらい凄いかというと、カルピスって人によって濃さが違って、どのカルピスの濃さが正解で正しいカルピスなのか分からなかった時代に「カルピスウォーター」という始めから完成されたカルピスが発売されたことで「正しいカルピスの濃さ」を万人に定義することができた、というくらい画期的ですごいことなのです。
ということでカルピス──ではなく PDF の話。
【1】PDFは Illustrator に読み込むことで編集できる
Windows の場合は拡張子「.ai」付けることでも可能。
時々ビットマップデータが張り付けられただけのデータがあったりもしますが。
「ロゴデータを保管していない」という相手に対して、過去の PDF ファイルから綺麗なベクターデータを抽出することも可能です。
※ちなみにデータ目的ではなく、編集したいだけなら「Acrobat Reader」ではない「Acrobat(無印)」の方なら文字も画像も編集できます。めちゃくちゃ開くときに時間かかりますが。
【2】対策として、Illustrator に読み込まれて編集できないように設定できる
そして、PDF から 編集可能データを貪られることで困るのは制作会社の方。
大部分の制作会社がそうだと思うのですが、自動的に発生する著作権を楯に契約書を交わさずとも権利が制作者にあるという理由で、編集可能なデータの提供をしません。実際、データを提供してしまうとそれを利用して知らないところで大量生産されてしまうので、制作側としては儲かりません。
本来はビジネスマナーとしては、依頼側も制作側も「現在と将来、成果物をどのように使うか」をはっきり提示して以来と見積をするべきで、そうしないかぎりこの手のトラブルは山ほどあります。
話がだいぶ逸れましたが、そういう理由で制作側は「PDFは開けるけど、Illustrator で開くことはできない」という設定にしたいと思います。もちろん可能です。
1.Illustrator の「ファイル」→「別名で保存」で PDF を選択。
2.「セキュリティ」タブで下記設定をします。
・「セキュリティと権限の~」にチェック、自分だけが分かるパスワードを設定(使用する事ないので適当)
・「変更を許可」のプルダウンリストを「なし」に設定
・「スクリーンリーダー~」にチェック(※文字読み上げに対応するため)
これで Illustrator で開こうとするとパスワードを要求されるようになり、開けなくなります(データが編集できなくなります)。
このように設定はとても簡単なのですが、実際にこの形でロックをかけている制作会社は多くないです。理由は単純で、そもそも PDF がイラレで編集できるということを知らない人が多いからのようです。
【3】その対策の対策として、Illustrator で編集不可にされた PDF を開くこともできる
それでも納品日前でキレながら作業している制作者たちが「PDFからなんとかデータを抽出できないものか・・・」と思うことは多々あります。お金の問題とか権利とかの問題ではなく、単純に納品まで時間がないからということが多いから。
依頼側にデータ提供をいくらお願いしても前日になってようやく素材が揃ったという事件は少なくないです。
●Mac の「プレビュー」ツールで PDF を開き、「別名で保存」し、できたファイルをイラレで開く
●PDFunlockというサービスを使う https://www.sodapdf.com/unlock-pdf/
やぁ、PDF って闇が深いですね。。。
コメント