スマート農業というデザインソリューションを考える


ものづくりに携わっている人には面白いTVドラマ「下町ロケット」ですが、農業に革命をおこす センサーや GPS 技術を用いた「無人化技術」についても登場しました。高齢化や農業人口の減少の問題を解決する智慧に満ち足りたテクノロジーなのですが、宇宙へ跳ぶロケットからのつながりのあるストーリー展開ということで胸アツです。
執筆された時代はどうか分からないですが、今となってはそれほど珍しくもなく、よく聞くようなちょっと常識のような雰囲気にもなっているのですが、デザイン視点で見ると潤沢であろうスポンサー資金を利用した美術の方もどうしても注目してしまいます。
前回では無人トラクターが車庫から自動運転でガレージから発進するシーンも描かれました。コミカルな演技のシーンになってはいたのですが、このトラクターの造形について「おや?」と思った人もいたのではないかと思います。
キャビン天板上部に大型のセーフティーランプが取り付けられており、安全管理としては素晴らしい設計なのですが、車庫スペースへの収容を考えるとこの部品だけのために全高を犠牲にしており、このデザインはプロダクトとして実在するのかな、と不思議にも思いました。


トラクターのデザインといえば、「フェラーリのデザイナー」である奥山清行氏がデザインしたヤンマーのトラクターなどがすぐに思い浮かびます。
■トラクター [YT3シリーズ] | 受賞対象一覧 | Good Design Award
http://www.g-mark.org/award/describe/43938
■(ブログ内記事)ヤンマープレミアムプロジェクト
https://yasukawa.hamazo.tv/e4673625.html
当然、この無人ロボットモデルが出てくると思っていたら、ディテールが違う様子。
作中ではトラクターのメーカー名は「ヤマタニ」として登場するのですが、モデルとなったのはヤンマーなのではと思います。しかし、ドラマの中の農業機器はクボタのものだということ。つまるクボタのプロダクトモデルということですね。
クボタは挿入される CM でもスポンサーらしく登場します。公式サイトを確認すると農業技術に関して全面協力しているとのこと。
なぜクボタなんだろうと思ったのですが、前作の工場シーンでクボタがロケ地として使われており、その頃から関係性を築いていたかもしれませんね。
クボタでは既に実用化されている技術で、スマート農業用機器として正式販売もされています。
しかし公式サイト上に同じモデルが見当たらないので不思議に思いました。
まさか美術さんが本気出して偽装を施したもの???
興味がわいてしまっていろいろ調べていたのですが、農業機器のデザインって実用的なかっこよさに納得する上、なるほどと思うところがいっぱいありますね。周囲が見渡せる360度パノラマのなうえ、地面まで見えるように極力可視化させたキャビンの形状とか、長時間ドライブの快適性ではなく安全性や機能性を考えたデザインとか。またインターフェースは右側に集中させて右手だけでコントロールできるようになっており、実用戦闘機に採用されている HOTAS 方式のような概念もあります。
外観だけでなく、エンジンにも NOx を低減させる仕組みが入っているようですが、カタログを見る限りは触媒なのかなんなのかよく分からないところですが、食物に最も近いところにあるモビリティということで、どのような環境配慮がされたものなのか興味深いところです。戦争やアダルトで技術発展してきた業界もありますが、農業から先に進んでいる技術があるのかもしれないとわくわくしますね!
ちなみに僕の中ではトラクターといえばヤンマーだったのですが、農業系のひと言わせるとクボタの方が業界では有名だと思うとのこと。
意外に一般と業界内って隔離されているもので、マーケティングって大事なんだなと改めて思いました・・・。
あ、それで作中に登場する無人トラクターの正体ですが、クボタの特設サイトで同じものを発見しました。
■クボタのスマート農業|研究開発|株式会社クボタ(公式)
https://www.kubota.co.jp/rd/smartagri/
開発モデルかコンセプトデモのものを貸し出してもらったみたいですね。
役者さんが鞄を差し出して停車するピーキーさをみても人感センサーの精度が良く見えるので、高性能な試作機なのかもしれませんね。

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