名古屋といえば喫茶店文化で有名です。
僕も数年前に名古屋の子と遊んだ時に、店から店へと移動するのに必ず喫茶店を経由するというデートの仕方をすることにビックリしました。喫茶店に入ってはアイスコーヒーを飲むので、最後に入った店では「もう飲めません・・・」とギブアップまでする始末でした。青春ですね。
そんな名古屋に新しいカフェ文化を築き上げて人気だという「猿カフェ」。
名古屋を中心に系列店を含めると、現時点で13店舗も展開している人気店。
深夜まで営業し、お酒類も提供しているので、連日夜まで若者で大にぎわい。
Docomo のような大手企業とコラボ(店内にスマートフォンを展示)するなど、企業もその重要性に気づきはじめています。
情報発信の拠点としても、その爆発的な勢いはとまりません。
既存の概念を覆し、老舗を凌駕し、新しいカフェ文化を築き上げてしまった「猿カフェ」という店とは、どんなものでしょう?
気になったので、実際に見に行ってみることにしました。
キーワードは、「女子力」「プロモーション」「デザイン」。
猿カフェとは・・・
猫カフェには猫がいるのですが、猿カフェには猿は居ません。
グループを創立した代表の名前が「猿渡さん」だから、猿の文字が入っているようです。
プロフィールを見ると、大学を卒業し証券会社に6年勤めた後、30歳で起業したそうです。
スタートアップは居酒屋業態のようですね。
■猿グループ | 有限会社クリエイトワークス(公式)
http://www.saru-group.jp/
猿カフェは喫茶店の名前を冠していますが、お酒も出るし、料理も出る。
従来の喫茶店が時間潰しや待ち時間の合間に利用されるシーンが多いのに対し、猿カフェはメインの出かけ先として通用するポテンシャルを持っています。
実際入店してみて思うのは、女性客の多さと、グループでの来店率の高さ。
ファミレスのように気軽に利用できて、ファミレスのように大勢で入れる。
そんな従来とは違うコンセプトが見えてきます。
女性の意見を積極的に取り入れた店づくり
僕が猿カフェの話を友人から聞いた時は、
「スタッフもお客さんも、可愛い女の子が多い」
という話でした。
そういう子が集まる場所、という意味のようです。
女性客が多いのは、徹底した戦略によるもの。
女性スタッフやお客さんの意見から店づくりをしているそう。
店内には真面目そうにスーツを着た男性も少なければお子様も居ない。
ちょっとおしゃれで夜遊びに長けたような人が多い(夜だから)。
店内はカフェというより、キャバクラやホストクラブに近い。
そこで働くスタッフも教育とサービスの徹底がされており、高級ホテルのような扱いを受けます。
都会のリゾート空間としての立ち位置とホスピタリティ。
名古屋の喫茶店といえば、誰もが「コメダ珈琲店」を思い浮かべます。
コメダといえば、サボリーマンが新聞を読んだり、1人静かに読書しながらコーヒーを飲んだり、または友人が集まってちょっと話をしたり。そんなシーンが思い浮かびます。
しかし猿カフェでのコンセプトは、真逆の、大人数が集まって笑顔で楽しむカフェというところらしい。
テーブルや椅子は食事がしやすい高さのものではなく、どちらかというとゆっくりくつろげるもの。
配置も会話がしやすいような、お互いが近い位置。
大人数用のソファ席も多く用意されています。これは完全にカフェではなく、クラブのようなシートですね。
メニューも喫茶店によく並ぶサンドイッチやカレーのようなものではなく、お洒落で可愛いものが多いです。
今風に言うと、バルが近いかも。
お洒落に美味しい食べ物を食べて、楽しく会話する。
そんなリア充のための店といった感じですね。
地域に根差したカフェという店舗形態を利用したプロモーション
お洒落なカフェを利用するという客層は、高感度で情報発信力も高い。
20代女性をターゲットとして設定し店づくりをしているために、店内はまさにそんな客層が溢れかえっているのですが、その集客力を利用したプロモーションも積極的に行っています。
展開するそれぞれの店舗も、いい感じにエリア分けされています。
そしてそれぞれの店が、それぞれの地域に特化した店舗経営と情報発信をしています。
猿カフェというブランドを確立し、美味しい料理や内装、雰囲気などでファン化。
ターゲットも最初から20代女性と絞っているので、この層への効果は絶大。
大手企業もこの広告効果を放っておくこともなく、店内にポスターや実際の商品を置いたり、製品に関連したオリジナル料理をメニューに用意するなど、コラボレーションすることも多く、それが相乗効果となっているようです。
Docomo のコラボでは、スマホを持ちたいお洒落女子にリーチできる場所として、女子が自由に触れるように実機を置いてあたそうです。ここまでくると、「カフェというメディア」「カフェというプロモーション」として成り立っています。
猿カフェにくれば、なんだか新しい情報がある。お客さんにはそんなメリットもあるし。
企業にとっては、情報発信力に優れたリア充に訴求できる。そんなメリットもありますね。
「猿」をアイコンにした、ブランド構築。デザインの力。
猿カフェを展開する「有限会社クリエイトワークス」は、女性グラフィックデザイナーを抱えていて、この方が1人で店舗のパブリックを手掛けてたようです。現在は3人くらいいるようです。
(c) createworks
ロゴタイプには、それぞれの猿が描かれており、各店舗で微妙に違います。
本を読んでいたり、ラジコンの車を走らえていたり。
これはグラフィックデザイナーの子が一貫して考えているもので(一部外注あり)、その地域・店舗のコンセプトにあったものを描いているようです。車が走っているのはトヨタのある豊田店らしい。
ちょっとしたお遊びの部分でもあるのですが、CI・VIを徹底することにも繋がり、可愛い猿のある店として認知されています。
実際、友人にも聞きましたが、別のエリアにある猿カフェを見つけると、どんなロゴなのか気になってみてしまうそうです。
そして地域に関係した意味のあるイラストになっているので、そこから地域を知ることにもつながりますね。
店内のツールや小物も猿グッズで統一されています。
メニューにも「猿」と名前が付いたものもあります。
女の子たちがこの猿のイラストを可愛いというのだけど、男の僕にはあんまり分かりません。
ベビーフェイスのキャラが多いご時世で、狙った感じではなくクールでシンプルな猿が受けているのでしょうか。
どっちかというと猿カフェのコンセプトが受け入れられて、それに関するグッズも連動して「可愛い」という評価を受けているようにも見えます。
可愛らしく、女の子に人気のメニュー
エビマヨ。
サラダ。
モヒート。
右のはノンアルコールのモヒートで緑色が強い。
全体的に量が少ないことを考えると、値段はちょっと高め。
ただ女子ならあんまり食べないことを考えると、これくらいのボリュームが丁度いいのかな、と思います。
味は、まぁ普通の居酒屋とかカフェのレベルです。
愛知県中心に展開する猿カフェですが、静岡県にもあります。
「呉服町通り」谷島屋書店の隣です。
ちょうど1年前くらいですね。
■猿カフェ 静岡呉服町店
http://www.hotpepper.jp/strJ001008946/
静岡県静岡市葵区呉服町2-5-6 呉服町パーキングビルB棟 1F
なぜ、名古屋よりである浜松をすっ飛ばして静岡市なんだろうという疑問はありますが、たぶん駅前の歩行者を観察するとしてターゲットとなる層の通行量とかを調べた結果なのでしょうか。
いずれにせよ、今後、浜松にも進出してくるだろうことが予想され、要注目です。
デザイン事務所がカフェやバーを併設して運営するということはよく聞くのですが、インハウスデザイナーのいるカフェというのは珍しい気がします。あとフリーペーパーを出しているカフェも少なそう。
そういった常識を覆したところに成功の理由があると思うのですが、広告媒体がやりたいと思っていることを飲食店側がやってしまっているというところに、現代の広告業界の弱さがあるのではないのでしょうか。
新聞・テレビが強い現在で、インターネットが主流になるともいわれるですが、時代はすでに「実店舗」が情報発信するような「井戸端的メディア」の実現が近づいています。
リアルに人が集まる場所で、リアルな情報の発信がある。
虚偽の情報が氾濫する砂漠のような現代社会において、人同士がもっと近づいて、触れ合い求め合う。
肌の温度を感じるかのような、求め求められるような情報発信の仕方が今後は主流になりそうだと感じます。
猿カフェ 栄広小路店 (洋食・欧風料理(その他) / 栄駅(名古屋)、栄町駅、伏見駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.0
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