冗長な自由度の克服というデザイン


グラフィックを主にするデザイナーには関係ない話ですが、工学系デザイナーが避けて通れない認知系の学問に「ベルンシュタイン問題」があります。ロボット開発等で主に考えなくてはならない概念です。
よく言われる例題が人間の腕の運動制御モデルで、肘の関節は上腕二頭筋などの屈筋でシンプルに動かすの対し、手首の関節は二軸で複雑に動きます。腕全体で考えると、テーブルの上の物体をつかもうとした時、ありとあらゆるパターンの軌跡が存在することになります。じゃぁこれを制御しようとすると、手首の動きなどは位置配置を制御しようとすると膨大で現実的でない量のコマンドが必要になることになります。さらに身体の状況(重心や向き、角度)によって、環境からの力学的状態に依存することになります。
人間が物を掴もうと腕を動かすとき、こんな情報処理をしているわけがなく、簡単にさっと取っています。おそらく感覚的に冗長性のある選択肢の中から最適解を選んでいるのでしょう。
これがベルンシュタイン問題。
最適化する制御理論が実証されれば、二足歩行ロボットなどの進化も早いかもしれません。


ニコライ・ベルンシュテイン – Wikipedia
現代では研究も進み、中枢制御モデルではなくもっと小さな単位で動きの構造を把握し、協応構造にするかと考えられています。
自由度を下げ、自立した下位システムの集合体がまとまって大きな協応するシステムとなっている、という概念です。
これらの概念で紐解けば、絵の上手な人はより自由度を下げ限定的な腕の動きで線を正確に描いているとも分析できます。
  

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