「デザイナーとは、デザインされたものを使う利用者自身」
いつか教わった言葉だったと思うのですが、すごく綺麗に「デザインという仕事」を現している言葉で、僕は気に入っています。
デザイナーがデザインを作っているわけではなく、それを見る・使う利用者が実際にそのデザインを利用することで最終的にデザインが完成するという意味です。
アーティスティックに自分の好きなものを作る、それを褒めてもらいたい・評価してほしいという人は多いと思うのですが、実際には、一般利用者というデザイナーさんたちに素材を与えているだけ。
そのデザインをどう使うかは、利用者次第。
使いやすいか使いにくいか評価するのも利用者次第。
使いにくいデザインを使わなくてはいけない状況になってしまって、仕方なく自分なりに工夫して使いやすくするのも利用者次第。
そんな風にゲリラ的な要素を付加して、デザインは完成に近づいていくものだと思います。
哲学的な言葉にも聞こえますが、求められる最終的な結果への概念はこれだと思っています。
だから、途中経過であるデザイン業務は、失敗を繰り返してしかるべき。
上手に失敗する、ということも必要だと思っています。
上手に失敗するという意味は、うまく伝えられないのですが・・・。
ユーザビリティテストの指標には「どれだけミスするか」という項目もあるのですが、これに概念が近いかも。
・Fail fast (ずるずる続けず、早めに失敗しろ)
・Fail small (小さく安価に失敗しろ)
・Fail often (たくさん失敗しろ、何度でも試せ)
・Fail smart (失敗から気付け、学べ)
最近のビジネス格言やスタートアップでも同じようなこと言われてるみたいですね。
要はチャレンジだと。
とにかく利用者に使ってもらうことで、閲覧者に見てもらうことで、設計としてのデザインとしてのクオリティが上がるのではないでしょうか。
指摘されたことを全部修正するとかの意味じゃなくて、フィードバックを受けながら自分のコンセプトにブレがないか確認するイメージ。「青が好き」「赤が好き」というように全員の嗜好の意見を反映させることはできないので。
WEBサービスに限っていえば、最初はヴィジュアルイメージが入っていないほうがいいのかな、と最近思い始めました。
「右回りで全員意見を言ってください」的な打ち合わせでの意見に多いのですが、余白とか文字組みとか、どうでもいい表面的なことばかりが意見として上がってきてしまって、サービス自体の使い勝手とかの本当に欲しい評価が後回しにされてしまうので。
あと、意見を無理やり言わせているので「悪い部分」を無理やりつくりあげているパターンもあり、僕はこの手の意見を全員に言ってもらうという場は、個人的にはあまり参考にならないとは思ってます。意見は大事だけど、それが無理やりひねり出した意見なのか本質的なものなのかの判断をしかねるというか。
それよりも友達に何気ないタイミングで何も言わずにポイっと見せてみて、反応を伺った方がよっぽど効果的なフィードバックが受けられます。
いずれにせよ、早め早めの確認が必要ということですね。
上手に早めに失敗することで、致命的な悪い結果を避けられるということ。
このあたりを意識した仕事の取り組みをしていきたいと思っています。
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