畑から生まれるデザイン「お野菜クレヨン」


(C)STmind.
青森市のデザイン事務所が販売し始めたという『おやさいクレヨン 「ベジタボー(vegetabo)」』が興味深いです。
その名の通り、野菜から作ったクレヨン。
従来の決められた色で作っているのではなく、野菜から色を取り出して作っているので自然に近い色なのが特徴。
たぶん「青い野菜」が少ないので、色展開からは青色が外れているのだと思うけど・・・。
作ったのは、デザイン事務所を独立開業したばかりの地元デザイナー。
WEB・紙といった広告媒体のデザイナーという職種で終わる人が多い中。
錬金術で虚空から物を作り上げるかのごとく、「メーカー」として「素材から新しいものを作りだすデザイン」を実現してリアルにオリジナルの商品を作り上げる。地元・青森を PR しようという想いからだったようです。
広告は、「他人の作った商品」を PR するのが仕事。それ自体は人の役に立つ立派な仕事ではあるのですが。
デザインという仕事に就くのであれば、自分がつくりあげる「オリジナルの商品」を世の中に出してみたい、僕はそんな風に思います。


■おやさいクレヨン vegetabo
http://vegetabo.com/
野菜を色と考える、という発想自体としては昔からありそうなものだと思うのだけど、野菜から現実に色を取り出して作るというのをやってしまうのは初めてなような気がする。
なんでかというと、「誰もやってない」そんな商品を作る手間が、かなり面倒だと思うから。
野菜の加工に詳しい農業に従じる人、クレヨン職人という加工できる人、マーケッター。その他もろもろ。
誰もやったことのないことにチャレンジしてくれる協力者を探し出し、マニュアルのない開発方法を調べ上げまとめ、プロジェクトを決定。判断が必要になれば決断。それぞれの分野にかたよった人と人を繋ぎながら、全体的に進行していく。
こういうのがディレクションなんだと思う。
世の中に蔓延する「ディレクション」はスマートで格好良いイメージなんだと思うけど、実際は泥にまみれ脚でかせぐようなアナログな世界。
こういう仕事ができる人だからこそ、このような面倒くさいけど新しくカッコイイ商品を作り出すことができるんだと思う。
日本の子供が描く「富士山」は水色で、「太陽」は赤。
実際の色とはかけ離れたイメージなのですが、そのイメージは大人になっても固定概念として消えることはありません。その色が間違いだと気付いている人すら少ない状態。
この「野菜そのもの」の色は、子どもたちに安全と楽しさを教えてくれると同時に、ものの見かた・世界の在り様について新しい概念を与えてくれるものだと思う。

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