疑似でないフラットデザインのどこが美しく、何を救うというのか


フラットデザインやマテリアルデザインが流行しているといわれる今日この頃。
UI だけでなく、WEBサイトにまで影響を与えているようだけど、現実的には本来のフラットデザインそのままに採用するようなサイトは少ないと思います。
理由はビジネスであるからで、クライアントからの要望での「お金を払ってるんだからもうちょっとリッチに…」とか「もう少しボタンっぽさを出して押されやすいように…」という意向があって突き抜けることができていないという雰囲気がありますね。
iPhone の登場で「スマホ」の UI/UX がスキュオモーフィズムを纏ったものに決定づけられて、もうすぐ10年。ファッションでのブームが古くなったり新しくなったりするように、WEBもリッチだったりシンプルだったりの変革があり、WEB制作会社担当の「御社のサイトは古いですね」というリニューアル提案を受けずにはいられないくらい目まぐるしく変わります。
でも、なかなかフラットデザインには変わりません。何故でしょう?
それはフラットデザインという概念の分かりにくさに通じていると思います。


Apple のスキュオモーフィックデザインは、未だ PC やスマホが普及していない時代に、どうやって触るのかを無言でチュートリアルしてきました。
デスクトップは机の上、メモ帳はテキストを入力するもの。そしてゴミ箱は CD を取り出すためのもの…いえ、なんでもないです(このへんから Apple おかしかったよね)。
そんな現実世界のメタファを利用することで、仮想の 2D 画面を分かりやすく、そして違和感なく操作できるようにしてきました。
しかし、端末が普及してきた現在、デザイン的におかしな部分はいくらでもあります。
気づかないのなら、それはそれで幸せ。
例えば、電子メール。
電子メールは、言わずとも現実の手紙を電子化したものです。
手紙に必要な項目は、内容(本文)、宛先、そして消印。
電子メールにあるもの、内容(本文)、宛先、送信日時。そして何故か追加されている「タイトル(件名)」。
なぜ件名があるのかというと、メールソフトにこれがないと、どのメールがなんなのか整理されにくいからですね。
これがあることによって、数あるメールの中から目的のものを探しやすくなっています。通常の手紙であれば、形や破り方や経年劣化の仕方でなんとなく感覚的に見つけられるのですが、この感覚的な部分がないため、送信者がラベル付けしなくてはいけなかったことになります。この時代の最大の発明家もしれないですね。
今ならディープラン―ニングとかで内容を端的に表現してタイトルにしてくれるような機能とか出てくるんでしょうか。
あ、なんか自動的に分かりやすくしてくれるってなんか便利。
それから、現代の最も流行しているツールともいえる「LINE」。
こちらは本文のみを送信するもので、スレッド式に送信者をあらかじめ来めておいてずっとやりとりをするという使い方をします。
おそらくほとんどの人が送信したい人を選んでから送るのではなく、過去履歴の中から(もっともよく連絡している人から)選んでそのままやりとりをしていると思います。考えてみれば電子メールも連絡先アドレスから選ばず「返信」機能で送ること多いですね。シンプル。
また、LINE は送信日時ではなく「既読」かどうかを表示しています。イマドキのリアルタイムのコミュニケーションに非常に特化したシンプルな UI ですね。
ということで。
LINE は、電子メールや手紙のメタファを模したものなんでしょうか?
LINE は手紙の代わり?
時代が変わるに従って、外観が機能を表していないものが増えてきてしまいました。
スマホは 携帯電話の代わりなんでしょうか、それとも PC の代わりなんでしょうか。
これらに近づけようとした Apple はこの段階で、さらにそこから抜け出さないというのもダサい話。
iPhone のスキュオモーフィックデザインはレトロで郷愁的ですが、機能を表現できていません。
どこがクリックできるか分からない、ではなく、iPhone は画面全体どこでもタッチできるのです。
ドロップシャドウが「なんか押せそう」というシグニファイアで、「繊細なコントロールができる」マウスでの操作を助けてきたのは過去の時代。もうマウスはありません。
2D画面の中で疑似的な過度な装飾や「押せる」的なドロップシャドウで押せない部分を増やす UI ではなく、もっと画面全体を操作しやすい設計が違和感のないデザインであり、フラットデザインの本質になるのだと思います。
フラットデザインをただの流行と考えずに、違和感を与えずに機能としてデザインしたいですね。

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