海外でスタートした「Printednest(プリンテッドネスト)」というプロジェクトが面白い。
直訳すると、「printed(印刷された)」+「nest(巣)」。
3Dプリンタを使ったオープンソースのプロジェクトで、鳥用の巣箱を手軽に作り設置できるようにすることで、都会になって消えてしまった街に、鳥たちを戻ってこさせよう、という企画です。
■Printednest(公式・英語)
http://www.printednest.com/
思想からして分かりやすいですが、建築家&デザイナーのチームによるプロジェクトです。
独特の外観は、卵をイメージした楕円形。
実際の自然界の中での小鳥の巣箱も円形らしい。それは本当かどうか分からないけど。
巣箱というよりは「えさ箱」の機能を備えていて、基本的に餌を置いて小鳥を呼び込むみたい。
コンセプトは童話のようにピュアだけど、ここだけすごい現実的ですね・・・。
また巣箱の前に突き出した「止まり木」は「鹿の角」をイメージしているそう。
なんで鹿の角なのかはよく分からない。
狩人の家のインテリアに鹿の角とかあるけど、あんな風なデザイン的な意味なんだろうか。
でもオーバル+有機的なデザインというのは、なんだか面白いですね。
自分で 3D プリントするわけなので、オリジナルカラーやカスタマイズなどを入れて、自分だけのデザインにすることもできちゃいます。
巣箱の 3D データは提供され、自由にダウンロード可能。
サイトにはコミュニティもあり、マップ登録されるというオープンソースの仕組みらしい動きも。
また3D プリンタがない人用に、有料で送付してくれるサービスもあるみたい。カラーを組み合わせることもできて、これも楽しそう。
で。
このプロジェクトにおけるデザインの面白いところなのですが。
それは巣箱の設計部分。
ドーナツのようなパイプのような形になっています。
通常の巣箱は木の枝と枝の間に設置したり、屋根の軒の下に設置したり。そんな使われ方をすると思います。
そんな既成概念を打ち破る、この「Printednest」は、家の窓ガラスにぺったりと貼り付けて設置するのです!
これの何がすごいかというと、家の中で暮らしながら、可愛い小鳥たちが巣箱の中で生活するシーンが見られてしまうという、画期的なデザインなのです! 内側から覗かれてる小鳥たちは落ち着かないと思うけど!
蟻の生態を観察&鑑賞できる「アントクアリウム(antquarium)」という商品も美しいですが、こちらもなかなかのアイデアですよね。
バードウォッチングの逆転の発想ですね。
■Pinterest の 「printednest」(ギャラリー)
http://www.pinterest.com/printednest/printednest/
プロジェクト自体は、3Dプリンタの新たな可能性を感じさせてくれるようなものです。
なんかメーカーの販促プロモーションっぽい気もするけど、気のせいだろうか。
ただ最先端の技術を利用しながら、自然との共存を進めていくというアイデアは、皮肉めいていてなかなかメッセージ性がありますね。
欧米を中心に広まっているようですが、何故か日本には登録がありません。
小鳥と触れ合う文化みたいなものがないせいなんですかね。
とはいえ、自然との共生というメッセージにはデザイナーの心をゆさぶる、ちょっと気になるプロジェクトです。
僕も 3Dプリンタ買う時は、こんなのやりたい。
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