誰でもトランプ(Playing Cards)で遊んだことがあり、ほとんどの人に周知された歴史あるゲームなのですが。
歴史があれば当然そのグラフィックデザインも整理され、過去から引き継がれていくようなデザインルールのようなものができてきます。
ルーツに関しては諸説いろいろあるので、近代的なデザインルールともいえるのですが、絵札になっている「 J」、「Q」、「K」のカードなど、何故このデザインなのかと不思議に思ったことはないでしょうか?
例えば、トランプの最初のカードである「スペードのA(エース)」。
イングランド式デザインのカードにおいて、ものすごく荘厳な紋章のような複雑な「A」のロゴタイプをよく見かけることが多いと思います。
これは、トランプに税金がかけられていた際、不正な複製を防ぐためという歴史があります。
(※英国では昔トランプが流行しすぎて労働力が下がるのを危惧してトランプカードに課税していた)
トランプのパッケージではスペードのAが最初にくるので、そこに偽造防止のための複雑な形状をした納税証明印が押されていた時のですが、これがデザインへと昇華していったという歴史があります。
なので、フランス式デザインのカードには、複雑な模様の A どころか、A はなくてラテン数字の「1」が描かれているだけなんですよね。「1」から普通に始まっているのです。このへんからも世界によって違うカードデザインの体系を知ることができます。
ちなみに、トランプが 52 枚から構成されるデッキというのはイングランド式・フランス式で、日本ではこの様式が普及しています。トランプが世界万国共通と思っていたらそれは間違いで、外国にいけば絵柄どころかカードの枚数まで違います!
そして絵札。
数字の11、12、13の意味を持つ、J、Q、Kに描かれたジャック、クィーン、キング。
近代的なグラフィックデザインに進化する過程でより大量生産向けに簡略化されて同じ顔のような絵になっていくことになるのですが、それぞれのカードには本来モデルとなる人物がいて、描き分けされていました。
ダイヤのK = カエサル、ジュリアス・シーザー
クラブのK = アレキサンダー大王
スペードのQ = パラス・アテナ
クラブのJ = アーサー王の円卓の騎士の1人ランスロット
日本でも有名な錚々たる英雄たちや伝説上の著名人たちです。
これらの人物をモチーフとしているため、それぞれの絵札には彼ら彼女らと分かるような細かいディテールの絵柄が埋め込まれていて、例えば戦いの女神であるアテナのカード(?のQ)は、クイーンの絵柄カードの中で唯一武器を持っています。ソロモン王の父、ダビデ王のカード(?のK)には、彼が持っていた竪琴や巨人ゴリアテを倒した武器が描かれたりしています。
また、カエサルのカード(?のK)のデザインはキングのカードの中で唯一顔の向きがちがいます。
これは肖像画の向きが原因とか諸説あるのですが、カエサルはお金に対する執着心が強く、お金や財宝を意味するダイヤのマークを見ているという意味のデザインだとも言われています。
国の文化、派生や独自改善などもあり、正式なデザインというのがあるわけではないのですが、過去からのデザインの踏襲に寄って、トランプのデザインには意味があります。
こういう視点でみてみても、デザインって面白いと思いませんか。
デザインの意味を知ることで、お気に入りのカードを見つけてみたり。
ちょっとした人生の余興ですが、少しだけ面白くなると思います。
■トランプ - Wikipedia
■トランプの絵札、絵柄の人物|カードの履暦
http://www.phgenki.jp/original11.html
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