東京・印刷博物館ギャラリーで開催されている「世界のブックデザイン2014-15」展が面白そう。
「世界で最も美しい本コンクール」で選ばれた本の他、コンクール入選図書など200冊の本が展示されているみたい。
丁度、家のオープン本棚とかにコレクションとして置いておきたいなぁ、と思い始めた時の、このタイミング。これは行きたい。
僕は、長期出張があったこともあり、購入する本が全部電子書籍になってしまった完全移行派なのですが。
手に取る「本」というフォーマットだからこそのアイコンというかシンボルのような概念は、確かにそこにあるのだと思います。
所謂グラフィックデザインではない、造本技術だからこその思想や存在性といった意味でのデザイン。
動物や植物などに八百万の神話性を見出した人間だからこその考えかもしれないのですが、「本」というモノに、偶像崇拝にも似た「存在感」を感じるのかもしれませんね。
今年3月に開催された「世界で最も美しい本コンクール」の入選図書13点のほか、日本、ドイツ、オランダ、スイス、オーストリア、カナダ、中国、デンマークの8カ国で開催されたコンクール入選図書など合計約200点を展示する。会場では、展示された本を実際に手に取って確かめ、世界最高峰のブックデザインと造本技術を楽しむことができる。
■印刷博物館:P&Pギャラリー > 世界のブックデザイン2014-15(公式)
http://www.printing-museum.org/exhibition/pp/151205/index.html
「世界で最も美しい本コンクール」の受賞作品は、以下の URL にあります。
■Stiftung Buchkunst(公式・英語)
http://www.stiftung-buchkunst.de/en/best-book-design-from-all-over-the-world/2015/goldene-letter.html
銅賞をとった「MOTION SILHOUETTE」紹介
http://www.stiftung-buchkunst.de/en/best-book-design-from-all-over-the-world/2015/bronze-medal.html
■他の資料など(※リンク先に PDF があります)
http://www.jfpi.or.jp/news.html?topicsnewsid=170
そして銅賞に選ばれ、業界どころか一般人まで震撼させた話題になった「MOTION SILHOUETTE」もあるみたい。
これ、3D(飛び出す絵本)のギミックではなく、そこに影を落とすことで派手では無い静かで柔らかなイマジネーションを生むところが美しくもクールであるんだけども、金額が6千円して手が出せないんですよね…。
ロバート・サブダでも高くて3千円だった気がするけど。
と、思っていま見てみたら、いつのまにか普及版が制作されて販売されているんですね…。
というか、デザイナーの人が事業として本格稼働したのかもですね。
それでも、2,300円なので高価な本ですが、デザイン本だと考えたらこんなもんかと。
「MOTION SILHOUETTE」なのですが、これは普通の絵本ではなく、光と影を使って読み進む絵本で。
現代だと AR という技術があるから、スマホ内アプリで3D アニメーションさせる、みたいなのが IT らしい未来的・技術革新的なのですが。
「MOTION SILHOUETTE」という本は、もっとデザイン的で、本の帯にある谷川俊太郎氏の言葉
「光が揺れると影も揺れる。これは世界のつつましい横顔(シルエット)です。」
という言葉通りに、普段見慣れたありふれた世界を少し角度を変えて見ただけのものなんですよね。
「本」というものが「詩」であり、そこに美しく優しい音楽のような調べを持つものであるなら。
「MOTION SILHOUETTE」は、語りかければ表情をころころと変えてくる少女のような、表情豊かな物語性を持ったものだと思います。
量産型である普及版のサブタイトルに追加された「影から生まれる物語」というのも、少し憂いを帯びてはいるけど、いい言葉ですね。
これは電子書籍にはできない、完全敗北だわ。
動画リンク:https://vimeo.com/99960130
動画リンク:https://vimeo.com/144220969
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