士郎正宗原作「GHOST IN THE SHELL: STAND ALONE COMPLEX」のテレビ版にて登場した「笑い男」のロゴマーク。
ビデオカメラどころか視界までハッキングされ、犯人の男の顔にモザイクのようにロゴマークが貼りついたまま犯行が行なわれる様はショッキングで、このロゴは「光学迷彩」という技術名称と共にSF好きならどこかで見かけたことがあるほど認知されたものだと思います。
殺人未遂という残忍な行為に反した「笑顔」の無邪気なロゴデザインは、そのギャップもあって世界中で人気が爆発し、マスクツール用の画像やプロフィールアイコン画像、Tシャツやコーヒーカップといったところまで幅広く流行しました。作品を拡散させたデザインといっても過言ではありません。
このロゴデザイナーは今や世界的人気デザイナーとなった Paul Nicholson(ポール・ニコルソン)。
タイポグラフィーを基盤とするイングランドのデザイナーです。
シンボルマークの周囲に弧を描く文字には何故か
“I thought what I’d do was, I’d pretend I was one of those deaf-mutes(僕は耳と目を閉じ、口をつぐんだ人間になろうと考えた)”
というJ・D・サリンジャーの有名小説『ライ麦畑でつかまえて』からの引用文が配置され、理系が好む詩的な表現ともいえる微妙な雰囲気を醸し出しています。
作品中でも「笑い男」は比喩や名言を引用する瀟洒な物言いを好み、登場キャラクターが創作したデザインという雰囲気を持っていました。
Instagram 投稿の中で Paul Nicholson 自身がロゴデザインの解析をしているのですが、細かく計算された比率などが見て取れ、理系デザイナーなんだなと感じさせます。クリエイティブには文学的=乱雑、と理数的=整頓の種類があると思うのですが、見てそのまんまですね。
それにしてもいつまでたっても色褪せないかっこよさ。
お金を払ってでもステッカーを手に入れPC背版に貼りたくなる気持ちも分かります。
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