吉田初三郎 鳥瞰図


もうひとつの日本地図」として杉浦康平さんの「時間軸変形地図」のことを書いたのですが、日本にはまだまだデザイン・発想的に素晴らしい地図を作成した人がいます。
大正から昭和にかけて活躍した吉田初三郎という人物の名所絵図です。
吉田初三郎 – Wikipedia
デジタル展覧会「京の鳥瞰図絵師 吉田初三郎」鳥瞰図-京都府ホームページ
鳥瞰図と呼ばれる上空からの俯瞰で描かれた交通や観光名所の地図なのですが、昭和天皇から京阪電車沿線の名所図絵を賞賛され、それで一躍脚光を浴びたとされています。
吉田初三郎の地図は、「きれい」で「わかりやすい」というのも評価されているところなのですが、他の鳥瞰図と大幅に違うところは「思い切ったデフォルメ」というところです。
見えるはずがない海の向こうのアメリカ西海岸が描かれ、メインとなる路線は太い赤の直線で描かれる。
一方で、歴史や文化を感じさせる緻密な描写、美しく描かれる情景。
「正確な地図」では全く無いのですが、その土地が持つ「世界観」を表現し、この土地に旅したい! とワクワクさせてくれるものだと思います。
実際にその土地のお土産として非常に売れたらしいですが。
情報デザインが確立されていない時代のものですが、情報デザインとして何が必要で、何を視覚化するべきなのか、いろいろ勉強させてくれる地図です。

吉田初三郎の鳥瞰図を読む
堀田 典裕
河出書房新社
売り上げランキング: 162379
おすすめ度の平均: 4.5

4 これは廃版になる前に“買い”です
5 大胆なパノラマ地図を描き続けた吉田初三郎 その鳥瞰図の作成の背景に迫った好著

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