デザイン技法にはいろいろあると思うのですが、この間の大物の設備を前に誰かが言っていた言葉。
「両手を広げた長さは、だいたい身長と一緒くらい」
ものづくりをやる人なら環境の測定方法を自分なりにいろいろ感覚として持っていると思うのですが、スケール感や人が搭乗したバランスなど把握するのに、こういう自分スケールは感覚的にとても分かりやすいですね。
こんな感じの生態的測定法は学術的には「Ecometrics(エコメトリクス)」と呼ばれています。
英語では、統計学での「Econometrics(エコノメトリクス)」というものがあり、片方だけ知っているとどうしても混同してしてしまうのですが、全然違うものです。
エコメトリクスには先人たちが度重なるフィールドワークの末に絞り出した基準値が広く知れ渡っており、今日のデザインにも当たり前のように活かされています。
・昇れる段差は、股下の長さの 0.88 倍
・座れる椅子の高さは、脚の長さの 0.9 倍
・鉄棒をくぐる or またぐの判断の境目は脚の長さの 1.07倍
これらは感覚的な測定と設計基準を表しているわけではなく、人間が目の前のものをどのようにとらえているかを知る判断ともなっています。
つまり、人間は自分の身体の大きさを基準に知覚が変化していることになります。
もっとわかりやすく言えば、捕食行動をとる生物たち。
彼らは決して崖下に落ちることも壁に激突することも隙間にはさまることもなく、「捕れる、捕れない」を事前に判断した行動をとっているはずです。
感覚的とはいえ、統計を取ればリアルな数値で生態学的なしきい値が取得できるのです。
環境を知覚することと、自分自身を知覚すること。
普段の生活の中だけでなく、球技のようなスポーツや車の運転なども、何気ない行動を観察してみると、新たなるデザインの発見があるかもしれませんね。
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