よく目にする路線図。何気なく見ている人も多いのですが、あの路線図はデザイン業界では屈指の革新的なデザインです。
最初の路線図のデザイナーは、ヘンリー・C・ベック。
ロンドン地下鉄路線図=チューブ・マップ(Tube Map)の図式的配置ダイアグラムでした。
チューブマップの革新性について、一般的な感覚では気づかずに通り過ぎてしまう性質のものだと思います。
違いに気づかない、というのはデザインが違和感なく受け入れられているということで、凄いことなのですが…。
この路線図は、地図の体でありながら地形や距離に正確性を無視しているもので、路線の相対的位置と接続性を表現しているだけのものなのです。
地下鉄を使う人にとっては「地形的特徴」よりも「乗る駅・降りる駅」が感覚的に分かれば良いという設計思想です。このデザインの発想は凄いですね。
「ロンドンの地下鉄」といえば、デザイナーにとっては聖地のようにあがめられ、イングランドでは国内産の優れたデザインとして、文化として確立する動きを見せています。
そんなチューブマップのトポロジーに魅せらえたひとり、ワシントンD.C.に住んでいるグラフィックデザイナー、Peter Dovak さんは「Mini Metro Maps」というプロジェクトで、世界各地の主要都市の路線図をアイコン化するというデザインに挑戦しています。
◆http://pdovak.com/mini-metro-maps
路線図を、太さと角度を決めたラインによって現しているだけのものですが…。
面白いのは、地下鉄を運営するには利用する乗客が必要なので、当然トラフィックの多い都市は線の数が多くなり、あまり近代化されていない都市は線が少なくなるというところです。一目瞭然、交通量が多く人が多い都市との差が把握できますね。
北京が都市を網羅していて移動に利便性が高そう、とか。
モスクワが綺麗だな、効率も良さげ、とか。
東京は無駄が多いけど、もうちょっと整理できそうじゃね? とか。
いろいろ想像力も刺激されて眺めていると面白いです。
東京の地下鉄路線のリデザインとかもやってみたくなりますね。現実的には空想でも建物や住民がいるから再設計には膨大な情報量と労力が必要そうだけど。
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