インクルーシブデザイン(inclusive Design)とは、あらゆることを巻き込んで一緒に考えていく、というデザイン手法なのですが。
結果的にユニバーサルデザインと同じような理想と結果を生むこともあるのですが、アプローチ方法がまず違います。
ユニバーサルデザインが誰でも使いやすいように設計していくという手法。
インクルーシブデザインは、一緒に考えていくという手法になります。
提唱したのは、ロンドンにある英国王立芸術大学院(RCA)名誉教授であったロジャー・コールマン(Roger Coleman)。
障害者と高齢者を前提としたデザインをベースにインクルーシヴデザインの論理と実践をすすめ、1994年に論文「The Case for Inclusive Design」を発表し、以降インクルーシブデザインの始祖として活動しています。
ちなみに論文発表時には世間に「ユニバーサルデザイン」という概念は無かったのですが、この新しいデザイン活動が認知されていくのには少し時間が必要だったのかもしれません。
インクルードデザインとは、今までは「メインとなるターゲット」から故意に外されてきた障害のある人、高齢者などを積極的にインクルードするという考え方になります。
当然、敷居の低いところからスタートした情報認識や操作性に重点を置くべきと普通は考えるところなのですが。
実際にヒアリングしてみると、身障者や高齢者の方たちは、「車椅子で使うのに便利」というようなものを求めているわけではなく、普通一般の人が求めているものと同じような視点になっていることが少なくなく。
そのあたりの塩梅を、一緒にデザインの力で解決しよう、みたいな。
押しつけがましい弱者への優しさじみたユーザビリティよりも、一緒にどうするかを考えていくというのはデザインという概念を象徴する良い考え方だと思います。
デザインというのはデザイナーが作るものではなく、便利だとか使いやすいとかいってくれる利用者の人がいてはじめてデザインとして帰結します、そんなデザインパートナーとして、彼ら彼女らを含めてアイデアを反映させていこうというものです。
つまり、全員参加型デザイン!
これには時代の推移も理由としてあるのですが。
ユニバーサルデザインでは肉体の部分損失や機能障害などを考慮した初期デザイン。
インクルーシブデザインでは「社会から少しはみ出してしまったような人」ともいえる、対象から外されてしまうような人を改めて包括して考えるということをしています。
ヒアリングを重視した制作・開発はどの企業でもやっていると思うのですが、やはり現代デザイナーに必要なのはコミュニケーション能力ということになりますね。
あとリサーチが大事。
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