高橋農園の無農薬野菜を楽しむ会(フードフェス・夜楽レポート)


今年のフードフェスの新たな試み「夜楽」に参加しに、ビストロ・ド・ターバンに行ってきました!
「夜楽」というのは、著名人や地元の名士を講師に、夕食やお酒の席を参加者と懇談を深めて楽しく学ぶというイベントです。
夜楽、めっちゃ楽しい!
今回のテーマは「高橋農園(森町・三倉)の無農薬野菜を楽しむ会」。
森町で高橋農園を営む高橋均さんをお招きして、高橋さんが作った無農薬野菜を使った料理をいただきながら、お話を聞かせていただくというものです。
お客視点で見れば、美味しいと思う料理は「料理人」の腕なのか、素材の野菜を作った「農家」の腕なのか、正直よく分からないです。
でもこの2者が揃っているということで、目の前のお皿の味の「正体」とでもいうべき何かが見えてくるのでしょうか。


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これが噂の、ビストロ・ド・ターバンの酒樽でできた看板。
くたびれて崩れそうなワインの樽ですが、それもそのはず、40年以上の風月に耐えたお店のシンボルです。
昭和43年(1968年)からこの場所で店を構え、それからずっと続いているという歴史の重みが、この看板にはつまっています。
この看板にまつわる話もあって、店主が古くなった看板を変えようとしたところ、お客さんの方から「変えないでほしい」と嘆願されたとのことです。それくらいお客さんがこのお店に愛着を感じ、大切に思っているということだと思います。
この看板はそんな思いのこもった、美しい歳の取り方をしていると思い、ちょっと感慨深いです。
そういえば「ターバン」という店名ですが、元々はカレー屋さんだったからインドにちなんだ名前だったそうです。
だから、ここのカレーは美味しいんだとか。
地元・篠原で仕入れた大量の玉ねぎをかなりの長時間炒めてできるカレーだそうで、味にうるさい料理人ですら唸るような味なんだとか。これは食べてみたい・・・。

店構えが小さいので、失礼ながらちょっと小さ目の店かなと想像していたのですが、扉を開けてびっくり。
奥に長く、ずらーーーーっとテーブルと椅子が並んでいます。っていうか、広い!
知識人に、「あそこの店はパリと同じ雰囲気」とまで評価されるほど、雰囲気のある内装。
現代の流行のようなシンプルモダンでもなく、悪趣味な豪華絢爛さでもなく、華やかなレストランといった感じ。
この雰囲気はいいかも・・・。
ちょっとした穴倉のような、奥にワインセラーがありそうな雰囲気が、本場フランスを彷彿とさせるのでしょうね。


壁にはフランス画家のユトリロの作品や、有名人の色紙があります。
ちょっと見たことのない作品もありました。
芸術系の学生なんかは、絶対好きな雰囲気です。
壁に張り切れない色紙の山もテーブルに積んでありました。
ちょっとびっくりするくらいの有名人の色紙もあります。


この真鍮製のライオンのドア、そういえば僕の実家のドアにも付いてるのですが、こんなに立派じゃなかったです。
っていうか、なんで実家のドアにライオン付いてるんだろ???

高橋農園の高橋さん夫妻。
非常に素敵な夫婦で、果敢にチャレンジする夫を献身的に支える妻という、ちょっとした映画のストーリーにもなるくらい美しい関係です。農業というのはそんなに儲かるものでもないようなのですが、それでも「農薬を使わない安全で美味しい食べ物を届けるため」という夢を追求する姿には、打たれるものがありました。
お金と深く仲良くなるのか、それとも深く人間と仲良くなるのか、という選択のような気もするのですが、豊かで幸せな生活というのはどのようなことをいうのだろうと、人生について、ちょっと考えさせられました。
そんなこんなで高橋さんの野菜についてのお話をいただきながら、実食。

遠州黒豚の自家製ハムのサラダ
この料理のポイントは、インゲン。
「サクサク王子」というちょっとふざけた名前のインゲンです。
なんでもわりと新しい品種で「ハンカチ王子」が流行した頃に名前がつけられたからだとか。名前から時代性がちょっと分かりますね。
サクサクした食感が特徴で、この食感を表現するのに茹で時間が相当シビアなんだとか。
僕はアスパラガスとかインゲンとかとにかく野菜らしい野菜が嫌いなのですが、このサクサク王子は固い皮のようなところが少なく、そのうえ甘みがあるので、マヨネーズやドレッシング無しでそのまま食べるのが普通に美味しいです。かなり美味しいです!
「そのまま食べるのが一番美味しい」という野菜を食べた体験がなかったので、かなり衝撃的でした。
ゴボウやハムも美味しかったのですが、このサクサク王子のインパクトが強すぎてあんまり記憶にないです。
キュウリは「夏すずみ」という品種とのことでした。


遠州地魚のソテー・小カブとほうれん草添え
このポイントは、ほうれん草。旬から少しずれているとのことでしたが、それでも美味しかった。
ただ、魚そのものや、この黒いソースの方が次元を超えた美味しさだった。
なんだか、農家と料理人の戦いみたいですね(笑)。
黒いソースは赤ワインような豊潤さと果物のようなフルーティーさがあって、衝撃的に美味しいのだけどどこでも出逢ったことがないような味。みんな食べてる時に素材は何だろう? と言っていたのですが、後でシェフに聞いてみたらなんと「海老」だったそうです。
僕の味覚では全然把握できなかったのですが、料理人の人とか凄いですね・・・。


三ヶ日牛フィレ肉のきのこ風味焼 海老芋のガレット添え
フィレ肉がかなり柔らかく、柔らかいお肉が大好物な僕にはたまらない1品。このお肉、今まで食べた中でも、かなり美味しい。
そして海老芋、確かに美味しい。今が旬なんですね。
こんなに美味しい高橋農園の野菜を仕入れているのは、浜松では2店。
このビストロ・ド・ターバンと、初生町にあるシュークリームで有名な「カツヌマ」さんだけとのこと。どちらも名店だ・・・。

デザート盛り合わせ
上品だし見た目も可愛いし、大満足。締めくくりとしては最適ですね。名残惜しい。

コーヒー
最後にコーヒーをいただいて、終了。
男の僕にはちょっと物足りないボリュームだったけど、可憐な女子にはちょうど良いボリュームかも。

そういえば、お店側のご好意で、特別に厨房の中を覗かせてもらうことができました。
まさか厨房に入れるとは思ってなかったので大興奮。貴重ですね。
一番奥にあるのですが、かなり広くて働きやすそうでした。
そして、もっといろんな物がごちゃごちゃして、お皿や瓶や空き箱が散乱していると思ったら、そういうのが一切ない綺麗な厨房でびっくり。こんなきれいな厨房も珍しいのではないのでしょうか。

壁にはたくさんのフライパンが・・・。
まさか料理に合わせて使い分けるのかさすがプロフェッショナル! と思って聞いたら、使っていないフライパンだそうです・・・。
なんでもこのフライパンを作る技術を持っている人が今は浜松にいないとのことでした。

こういうメカメカしいのは興奮します。
たぶんオーブンですよね。

壁一面にでっかい冷蔵庫。この中にいろいろ入ってるんじゃないでしょうか。
ということで、参加して良かったと本気で思った一夜でした。
ちょっと敷居が高くて行く機会のなかったビストロ・ド・ターバンという店に行けたこと。
今まで接点の無かった農家さんのお話が聞けたこと。
他の参加者さんと交流できたこと。
それらも含めて、めちゃくちゃ楽しかった。
他の夜楽も行きたいけど、値段がちょっと高いかなぁ。全部は行けない。だから特別で贅沢なものなのかもしれないけど。
というか、各店がもっとこういう機会を増やして毎月のように開催されていれば、来月行くチャンスがあるのかなとか、いろいろ考えた。
農家さんもすごい身近に感じた。
作物という「生き物」を扱っているから旅行にも行けない。休みもないし、儲からない。
ちょうど今、ホテルの食材偽証がマスコミで話題になっているけど、儲かるのはそういう「ずるい」人間だけで、正しく人にサービスする人が儲かるわけではない。むしろボランティアのようになっていく。
でも、嘘をついてきたサービス側だけじゃなく、共犯ともいえるのは、「本物」を求めず、楽をする堕落をした消費者なのかな、とも思う。
僕らは、あまりにも無知すぎて、知ったかぶりをしてる低レベルな存在なんじゃないだろうか。
本物を儲けさせることができない消費者だからこそ、歪な世界になって、ズルをする人が儲かってしまう。
お金を追求する人生が良いのか、それとも信頼できる仲間のような家族のような存在と出逢う人生を選ぶのか。
建前と本音の答えがあるような問いだけど、それでもここには、絶対的な答えを持った「強い」人たちがいる。
食というテーマで美味しいものを食べただけだったけど、なんだか大切なものを掴んだような気がした。
実際に体験して、夜楽は本当に面白かったので、この面白さをいろんな人に知って、参加してほしい。
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ビストロ・ド・ ターバンフレンチ / 遠州病院駅第一通り駅新浜松駅

夜総合点★★★★ 4.0

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