ヒックの法則・フィッツの法則

スポーツ医学なんかを専攻したことがある人なら聞いたことがあるかもしれませんが、「ヒックの法則(Hick’s Law)」をご存知でしょうか。

(1) H = log2(n + 1).
(2) H = Σ pi log2(1/pi + 1).
H = the information-theoretic entropy of a decision.
n = the number of equally probable alternatives.
pi = the probability of alternative i for n alternatives of unequal probability.
The time it takes to make a decision is roughly proportional to H, the entropy of the decision (the log of the number of alternatives), i.e. T = k H, where k ~ 150 msec.
This can be used to make a time estimate for how long people will take to make a decision in using a user interface, such as choosing a menu item, choosing a tool, or selecting an item on a navigation bar. Cognitive modeling approaches such as GOMS apply this to making predictions of human performance.

決断をするのに要する時間 H は、処理する情報量 log2 の選択行為における目標 n 個に比例する、という法則です。
つまりユーザーの意思決定にかかる反応時間 t は a+b[log2(N+1)]。
a と b は、ユーザーの能力を定数化したものです。
与えられた選択肢が多ければ多いほど、決断に必要な時間が長くなることになります。
要は、メニュー数を減らし、読ませる文字数を減らすことで、より親切なインターフェース設計ができることを示しています。
同様のユーザビリティを定量化する手法のひとつに、「フィッツの法則(Fitts’ law)」というのもあります。

t = a + b*log2(D/S+1)

D はマウスカーソルからボタンまでの距離、S は目標となるボタンの大きさ。
この法則は、目標への距離間(ボタン同士の距離)が短ければ短いほど親切で、ボタンの大きさが大きければ大きいほど所要時間が短くすむことを表しています。
これで、ユーザーの意思決定にかかる時間は選択行為におけるエントロピー量に比例し、目標の距離が遠く、サイズが小さく、同じものがたくさんあるほど、選択しにくいことが分かりました。
この法則の面白い部分は、デザイナーが「いくつかのインターフェイスデザイン表現方法の選択に悩む時間は、その選択行為が多ければ多いほど時間がかかる」という不思議な現実をも表してしまっていることですね。
でも実際には、俗に言う「引き出し」をたくさん持っていれば持っているほどデザインにかかる所要時間が長くなるとは限りません。
鼻歌を歌いながら目を瞑ってデザインしてしまう人には、距離感や選択に迷うことはないからです。
話をインターフェイス設計に戻すと、ユーザーが興味を持たないコンテンツでは、ユーザーは適当にボタンを押してしまうのでユーザビリティ・インターフェイス設計は意味をなさないということになります。
「洗濯物を干そうとすると、必ず雨が降る」──
これはマーフィーの法則ですが、雨を降らすために洗濯をするという発想も面白いかもしれません。
ユーザーをグイグイ引き込む、受身でない積極的で攻撃的なインターフェイス。
そんな夢の設計のお話。

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