検索結果を「0件」にしないためのデザイン


スキルの振り幅が恐ろしく広いと言われる UX デザイン。
その観点から見ると、自分が思っている以上に注目されていないツールが「検索フォーム」。
空白が目立つレイアウトを埋めるかのように、よく右上の方にちょこんと配置されているのを見かけます。
もちろん、サイト内の情報のボリュームによって必要・不必要があるのですが。
単に「使いたいやつが使えば? 使わないなら消しちゃうよ?」的な機能を用意するだけ、単発の配置のされ方をしているのをよく見かけますが・・・。
検索フォームについては、閲覧者にとって便利だと思って設置されているオラオラ系の人も多いと思うのですが、問題はそこではないです。空白を埋めるだけの装飾でないのだとしたら、なぜ「情報が探せないかもしれないから検索フォームを置こう」と思ったのか、を考えてみる必要がありそうです。
閲覧者側からしてみれば気づかないことかもしれないのですが、UXデザインでは検索フォームが使用されたか使用されなかったではなく、入力されたキーワードの内容を解析します。
WEBデザインに携わる人にしてみれば、これほどまで自分のデザインを鑑みることのできるものはありません。
この検索フォームに何というキーワードを入力されたか、というデータを取ることで、情報を探してサイトに訪れた人が「何を見つけることができなかったか」「時間短縮のために何をいきなり求めたか」という貴重な情報を得ることができ、デザインの改善につなげることができます。
例えば、某CP社の検索フォームのログをチェックすると・・・。


一応断っておきますが、5年間という区切りを求めたサイト内検索のログになるので、少し間隔が長すぎるのですが。
一番多く入力され検索されているのは「個人情報同意書」というキーワード。
なぜこのキーワードで探している人が多いかと洞察すれば、どのページにこの情報があるかが分からないからという結果が見えてきます。
このキーワードについては社外の人は「?」となると思うのですが。
社内の人事関連の人なら分かると思うのですが、「個人情報同意書」は、個人情報の取扱いについて同意してもらうための書類です。
リクルートで履歴書を送付してもらう際に、一緒に提出してもらうことになっています。
この書類を無くした人やどこにあったかを忘れてしまった人が慌ててコーポレートサイトから探すも、ページを辿っても見つけられなかったので検索かけた、という考察の結果が見えてきます。
なので、この場合は、「個人情報同意書」があるページを分かりやすくするためのサイト構成・ページ構成・ナビゲーションが必要になるというわけですね。
(サイトは修正しました・・・)
という、自分自身への自戒と反省をこめて、自分自身に厳しく言えば。
定量的に数値化することでいろんなことが見えてくるデータですが、アクセス解析に加えて、この方法でサイトの問題、コンテンツの問題は見えてきます。
販売をやめてサイト上からも削除された某サービスについて、知りたがる人が多いこと。
おそらく営業がレンタルサーバの契約で語る「SSL」という単語が説明不足であること。
ブログパーツや投稿アプリなどプロダクトの説明が足りないこと。
・・・などなど。
定期的に解析していると自分自身の設計スキルの低さとコンテンツ作成ができていないことに凹んで鬱になりそうですが・・・。
WEB関係者の大半の人は、アクセスアップするのにコンテンツを作るよりテンプレートを変更したがる傾向(リニューアル厨)があるものなのですが。
それだけWEBデザイナーという言葉に惑わされてWEBマスターとしてのスキルとコンテンツを作るという意識が足りていないのだからだと思います。
定義がフワフワしすぎてる「回遊性」という言葉も、コンテンツを無視してテンプレート変更を推奨する言葉ですね。
データベース系の情報を主とするクリエイティブの基本は、「検索結果を0件にしない事」。
この言葉を座右の銘にして仕事をすると、意外に的確にブレないデザインができるのでおススメです。
作らなくてはいけない「もの」が何であるかが、全てこの言葉に入っています。
後は僕なりの伝わりづらい感覚的な言葉でいえば、「インデックスと捉えるかマップと捉えるか」という、ナビゲーションの仕方を考えるだけです。
このあたりは、紙媒体にはない WEB ならではの面白さ。
ニーズを予測して、閲覧者の認知するキーワードと統一させ、トレンドに合った情報を提供できるようにしたいですね。
ux

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