Furutiger、悪条件下でも識別できるサイン


僕が一番好きなフォントは何かと聞かれたら、悩むところだけど、たぶん一番使っているフォントは「フルティガー (Frutiger) 」。
フルティガー – Wikipedia
天才フォントデザイナーであるアドリアン・フルティガー (Adrian Frutiger) によってデザインされたもので、パリのシャルル・ド・ゴール空港のサイン書体として開発されました。
フォントでは、Helvetica、Futura と並んでよく引き合いに出される有名なものだと思います。
コンセプトは「矢印のように明確でシンプルであること」。
開発は1968年、一般発売はその8年後。
それまでのゴシック体(サンセリフ書体)が機械的な印象だったのに対し、Furutiger はより人間に近く明るい印象を持っています。これ以降、サンセリフは曲線を多用したものへと移行していくので、流行を作ったというか転換期を迎えさせたマイルストーン的なフォントですね。
識別性に優れるフォントという設計思想から、空港や駅など多くの海外の重要な拠点のサイン書体として使われている他、日本では JR のプラットフォームで見かけます。何番線か書いてある掲示板の数字がそうです。
 


高級すぎず、カジュアルでもないという無機質の印象は、使い勝手を選ばないので非常に使いやすいので、そのせいか企業ロゴで使われているのはあんまり見かけない気がする。
特徴的なのはやっぱり数字の部分で、「3」や「6」や「9」あたりが分かりやすいのですが、曲線の端っこが巻き込むように中心に寄っているのが普通なのですが、Furutiger は巻き込まずに端を広げていて、文字の中にある空間・空白が大きくなるようにとってあるのです。
これがどんな意味をもっているか普通の人には分かりづらいと思うのですが、フォントを小さくしてみれば一目瞭然。
他のフォントは狭く細かいので数字が潰れてしまうのですが、空間を広くとっている Furutiger は潰れないのです。
これが「識別性」の正体です。
遠いところにあるサイン看板の文字が、ボヤ?っと潰れてしまって読みづらくても、Furutiger は読み取ることができます。
デザインって美しさみたいなビジュアル的な意味でとられがちなのだけど、僕らは本来こういったことを勉強し実践しています。
シンプルに見えてもシンプルになればなるほど、そこにはスキルがあるのかもです。
 

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