イングランドの WEB クリエイターであるアンディ・クラーク(Andy Clarke)のセミナーで問題提起された「レスポンシブ・デザイン」の定義が、そこら中で議論となっている。
Andy Clarke については、よく知らないので特に語らない。
彼の語る「レスポンシブ・デザイン」と「アダプティブデザイン」の定義の違いの話。
WEB 業界は DTP に比べて歴史が無いせい(?)なのか、横文字の日本語には、定義されていない言葉が多い。
自分が知ってるのだけでも「カンプ」「ディレクション」など、定義を確認しないと話が通じない。
「来週、カンプ出します」と言われてもどのへんの完成度の成果物なのか全く分からないし、「この案件ではディレクションをやりたいです」と言われても何を指しているのかすらさっぱり分からない。
そして「レスポンシブ・デザイン」という流行の言葉にも、定義が曖昧になってきている。
海外はどうだか分からないけど、少なくとも日本に輸入されてきた WEB 業界でのレスポンシブとは、「メディアクエリー」「フルードイメージ」「フルードグリッド」という技術を使って表示端末の画面サイズによってビジュアルが変化するものを言っているように思う。
この定義が間違いみたい。
レスポンシブを謳いながら、例えば「スマホで」「タブレットで」上記のような技術で見せ方を変えているだけのデザイン。
これをレスポンシブというのがおかしいが、現状では1つの CSS を使って変化させているからか「レスポンシブ」という人がいる。ここの定義の甘さがあるみたい。
特定のデバイスのスクリーンサイズが変わるようなものは、そもそもレスポンシブでは無いということ。
レスポンシブは、どの画面サイズでも崩れず、可変していくというものだということ。
そう考えると、デバイスによって異なる見せ方をするだけではレスポンシブにはならないと理解できます。
マルチデバイス対応の考え方はいくつかあると思います。
デバイスの数だけ専用画面を作っていく方法。
汎用的な画面を作っていく方法。
レスポンシブ・デザインは、後者のやり方だということですね。
じゃあ、前者のやり方をなんと言うのだろうと思うと「アダプティブ・デザイン」というらしい。
特定のデバイスに特化した「専用」画面とでもいうべきもの。(マルチデバイス対応の専用画面)
ややこしいことに、この「アダプティブ・デザイン」というキーワードも曖昧になっています。
は、上記のレスポンシブ・デザインに対する概念のようなもの。
もう一つは、閲覧者や操作する人間に合わせて変化するデザイン。
この概念は、かなり面白い。
例えば・・・。
街灯が、外の光の明るさを検出して暗くなるとライトアップする。
カーナビが渋滞情報を感知して、空いている道を教えてくれてユーザーの行動を変化させる。
Google やショッピングモールのWEB広告が、閲覧者の行動履歴に合わせて内容を表示する。
タブレットを家の中では PC として使い、外出中はスマホとして位置情報を得ながら使う。
これらは作ったら楽しいかもしれない! 実に面白い!
ということで、 WEB 業界と、デザイン業界では、アダプティブ・デザインという定義が違う。
今後何らかの言い回しに変わっていくかもしれないが、ややこしいことにならないために覚えておきたい。
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