タクティクス落とし穴で、心の隙間を埋める


突然ですが、「落とし穴」にひっかかった経験ってありますか?
地面がアスファルトになりつつある現代では、なかなか「掘れる地面」そのものがなくなってきてると思うので、穴に落ちたことがある人も少ないようにも思うのですが。
僕が小学生の頃ですが、近所に空き地があって。
そこを通ることでショートカットして近道ができるので、小学生がやたらそこを走り抜けていたのです。
(ちなみに実際にはそんなに近道にもならない)
そこにある日、落とし穴が仕掛けられていました。


自己成長するために必要なのは成功体験という人も多いのですが、僕は個人的には「失敗体験」の方が経験としては重要だと思っています。
同じような失敗をしそうな時に、どう迅速に対応できるかが身に付くからです。
クリエイティブの世界では個人的にものすごく重要で、新しいもの作ってて「やべぇ動かない!」となった時に、あの時も似たようなことあったけどこうすれば動くんじゃね? みたいな対応で乗り切ることができるのは、特に深夜帯の追い込み作業時には大きいです。
このへんが仕事のスピードという結果に結びついていくのだと思います。
だから失敗経験や恥ずかしい経験も必要なのです!
──というわけで、落とし穴に落ちた話ですが。
えぇ、そうですとも。時には落とし穴に落ちるような経験も必要ってことですね。
この時学んだのは、「落とし穴の作り方」。
落とし穴ってどうやって作るか、知っていますか?
僕は実際にこの目で見るまでは経験してみるまでは、よく知りませんでした。
そして実際に落ちたので、そこで観察することができました。
先人の智慧とはこうやって受け継がれていくものだと思います
ということで、この時、小学生の僕のクリエイティブ魂に火が付き、僕も作ってみよう! ということになりました。

地形はこんな感じ。
赤いラインが小学生たちの侵入経路。実際にはまちまちの侵入角度だと思いますが。
家と家の間に空き地があり、ここをすり抜けるとほんのちょっとショートカットができるという帰り道です。

僕のひっかかった落とし穴は、空き地の中央くらいの位置に作られたものでした(確か)。
さて、成功体験の法則だと、同じ場所に落とし穴を作るところですが、クリエイターはそんなことしません。
マーケッターならここで地道に現地調査を行い、数十人の小学生が通り抜ける場所をリサーチするところ。
そんな仕事なら社長も大喜びですね。
まぁ僕は面倒くさかったので、感性の赴くままいきなり場所を決めて作るわけですが・・・。

僕は、このように、いきなり2か所に作って仕掛けました。
空き地に入ってすぐの場所に、落とし穴A。
空き地から抜ける路地の手前に、落とし穴B。
Bの位置は、必ず通る場所になるのでトラップを仕掛けるなら、はじめからここになるはず。
っていうか、空き地の中央の(僕が落ちた)落とし穴、みたいにどこでもいいから仕掛けりゃいいっていう仕事はアマチュアの仕事ですね(既に上級者気取り)。
最初から B の位置にひとつだけ仕掛けておけば済む話なのですが、それじゃ面白くない。
Aの落とし穴は、最初からクオリティが低く作ってあって、見ればそれが「落とし穴」だとばれるようになっているのです。
特に落とし穴を作ったことがあり精通している人には余計よくわかるのではないでしょうか。
要は、「誰かが落とし穴作ってるあるみたいだけど、俺にはバレバレだぜ!」みたいな感じで避て歩いてもらうためです。

A の落とし穴をクリアして安心して気分よく空き地を抜けようとした人が、Bの落とし穴に油断してハマるというわけですね。
どうせ落とすなら、こっちのほうが面白い。
ちなみにこの落とし穴ですが、通行するポイントに限定されているので大きな直径で作る必要はありません。片足がはまるように小さな直径で掘ることが可能です。
そしてわざと深く掘らずにおいておきます。
すると、この路地の横には川があるので、穴に片足をいきなりつっこんだ人がバランスを崩して、川にボチャンと・・・。
次の日に結果を見に行った時には、穴が見事にひっかかった跡があり、傍らの川には誰かが落ちた跡が残ってました。
さすがに子供ながらにその残酷さに反省して落とし穴を掘るのはやめました。
川の近くに落とし穴を作るのは危険だからやめましょうね。
いま考えると、なんでこんなくだらないことに一生懸命やってたのか不思議ですが・・・。
というか、もし世が世で落とし穴がオリンピック競技みたいなのになっていたら、あらゆる種類の落とし穴を作って「七色の落とし穴」でスタジアムの観客を沸かせることができたのに。
ただ、仕事でWEBの導線や広告を貼り付ける位置で悩んでる人を見ると、単純な位置ではなくて心理を利用したこういう発想があったほうがいいかなぁ、と思うのです。
必ず落ちる場所に落とし穴があってそこに落ちただけ。というのと、そんな風な演出があって落ちる場合。どっちが良いのかということですね。
あ、落とし穴の話はフィクションです。

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