銀座だけど、銀座からちょっと離れた場所にある本屋さん「森岡書店 銀座店」。
昨年オープンしたばかりの本屋ですが、Amazon の勢いに押され気味の書店の中で利益を伸ばす優良店。
その書店に国内外を問わず海外のビジネスシーンやらメディアやらが関心を示しています。
なぜ、その本屋がそんなにも売れるのか。
その本屋のコンセプトは、「一冊の本を売る本屋」。
雑貨を販売したり、レンタルDVD事業やゲーム販売店なんかと合併をする書店が多い中、逆に売る本を1冊に絞るという驚異の販売戦略です。
そのブランド戦略やロゴや内装などを含めたデザインコンセプトは、2016年のグッドデザイン賞にも選ばれています。デザインがビジネスを変える、良いお手本にもなっています。
現代の Amazon の影響度からも分かる通り、1クリックで購入できて家まで本を届けてくれる Amazon は、買い物客にとっても「家にいながら買い物ができる」というエクスペリエンスとメリットを持った素晴らしいビジネスモデルでした。
しいて言えば、海外資本のために、日本人が払ったお金がそのまま海外に流れてしまって日本国内の経済が悪くなるだけなこと、海外企業のために日本への納税の義務が無いみたいという大問題も抱えているわけですが。
しかし、購買客にとってはわざわざ本屋に行かなくても発売日に本をポストに届けてくれるというメリットがあり、そのために Amazon は1人勝ち状態で、街の書店は廃れて潰れていく。そんな時代が現在なわけです。Amazon は今や書籍だけでなく、生活雑貨や家電など何でもネットで買える存在にならおうとしています。
お金さえ払えばいくらでも何でも買える。Amazon。
一冊だけの本を売ることにした、本屋。森岡書店。
対比が考えさせられますね。
森岡書店は、1冊だけをずっと売っているわけではありません。
1週間ごとに「1冊」を切り替え、その間はその本を売ることに全力を注ぎます。著者を呼んでのトークショーなどや、内装を本に合わせて変更します。
お客さんにとっては、1冊だけしか扱っていないお店ですが、次の週に本屋に行けば、そこには違う本との出会いが待っています。その本があらゆるデザイン手法によってディスプレイされ、お客さんを魅了するというわけです。
最近のアプリやECサイトのレコメンドに似た構想ですが、ここまで突き抜けたコンセプトも今まで無かったのではないでしょうか。
客単価としては1冊しか買われないので低いのですが、お客さんにとっては数日後に何気なく「そういえばそのお店に行ってみようかな」と気になるので、リピート率はかなりの数になってそうですね。
それよりもルーチン化して「毎週水曜日はあの店に寄ってから帰ろう」という人もいそうです。
ファン作りの手法として、なるほどと思わされるビジネスのデザインだなと思いました。
世の中には、面白いことを考える人が多いですね。
ちなみにこの本屋さんのある場所は、日本の出版の礎を作った編集プロダクション「日本工房」のあった建築物件なのだそうです。不思議にすごい縁ですね。
■森岡書店 銀座店ができるまで 第1回:一冊の本を売る本屋(森岡督行/森岡書店店主) 「作った人と買う(読む)人が、売る場所でより近い距離感でいてほしい。」 – DOTPLACE
http://dotplace.jp/archives/18720
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