人物や風景のデッサン然り。立体の実像を面である2Dに落としこむというのは意外に数学的な智慧を必要とします。
写真などはレンズを通したものを上手に加工していて「それがあたかも自分が見た像」のように信じられているのですが、実像と写真を見比べてみて「なんか違う」と思う人も多いと思います。例えば、部屋の写真を撮ろうとして画角に入りきれないのを不思議に感じたり。
それが世界地図のような規模になれば、地図投影法が変わることで全然印象が違うことにもなります。
既知で全員の共通認識として扱われる世界地図は「メルカトル図法」と呼ばれていることを学校で習った記憶があるのですが、それでは「ガル-ピーターズ図法」という名前はどうでしょうか?
メルカトル図法が有名すぎて、「ピーターズ図法」を知らない人も多いと思います。
Wikipedia には日本語では掲載されておらず、英語版の説明ページがあるのみです。
■メルカトル図法
■ピーターズ図法(Gall?Peters projection)※英語版
球体である地球を平面の世界地図に正しく描く(投影する)ことは絶対に不可能です。
この変換のためのアルゴリズムを数多の数学者がチャレンジしたのが、現存の地図の投影図法の種類と違いになります。
形や法学や距離がゆがんで現実から遠ざかっていくため、図法には正しい部分と間違った部分がどうしても生まれます。
地図は、その用途で何を正しく見せ、何を間違ったものと認識させるかの光と闇を内包しています。
メルカトル図法は方角が正確。そのため航海をするための図面としての用途に長所があり、普及してきました。
逆にピーターズ図法は、面積を正しく認識させます。
アフリカ大陸は意外に大きく、ヨーロッパが小さいのが分かります。インドネシア諸島などもびっくりするくらい大きく感じますね。
さて、現在の技術において、地球上の現在位置などは軌道上の衛星から GPS によって認識され、目的地への距離や方角も簡単に取得できます。中世の航海時代のようにコンパスで方角を決めることはなく、GPS という鳥が、行き先を先導してくれる時代なのです。そうすると、「現代の地図」に求められる情報と機能とは、何になるのでしょうか?
はたして、いまの地図のデザインは、そのまま現代に合致するものなのでしょうか?
GPS に相応しいデザインの地図、それが今、求められているかもしれません。
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