アルコランプの設置・組立の大変さと超重量、みんなに伝わればいいのに。

アルコランプ
ついに ねんがん の アルコランプ を てにいれたぞ。
アルコランプというのは、「アルコ = アーチ(弧)」の意味通り、アーチを描くように大きくしなったアームが特徴の照明器具です。アッキーレ&ピエルジャコモ・カスティリオーニ兄弟がデザインした照明器具で、独特さと優雅さの入り混じった美しさと機能美は「これがデザインか」と感嘆せずにはいられないものでした。
もし家を建てることがあったら購入しよう、とあこがれていた、バルセロナチェアアイリーン・グレイイサム・ノグチ。アルコランプはそのデザイン性からも欲しすぎるのですが、でも重いしでかいしどうしよう…と物欲と現実と財布の合間に迷う日々でしたが、なんかいろいろあってストレスからか思わず購入してしまいました。



購入してから後悔したのは、配送のお兄さんも困り気味で運んできた、この木箱。
質の悪いベニヤ板の合板に無造作に釘とホッチキスの針が打ち付けられた、そこそこ頑丈な木箱です。
これ、単体で重さ 60kg あるのですが、「60kg? 成人男性ぐらいの体重じゃね? 背負えるし、あー、余裕余裕」とか思っていたのですが、全然余裕じゃない重さで、まずそもそも玄関先から動かすことができずに困りました。
木箱の横に丸くくりぬかれたところが手を持つところのようですが、ここを持ってふんばってようやく少し浮かせて動かせるレベル。
ちなみに後で成人男性のベンチプレス平均の重さを調べたら 40kg ということなので、普段キーボードを叩いてマウス握ってるだけのおっさんが持てる重さじゃないです。

木箱と格闘する事 30 分、ようやく開封に成功。
写真の通り、バールとハンマーでこじ開けました。
まさか自分がバールで木箱を開ける機会があるとは思ってなかったので貴重な経験でした。
工具の中でバールって使う機会がない秘密道具のようなポジションにしか思っていなかったですが、こんなに頼りがいのある道具だと思えたのは、感動的な出会いといわざるをえません。
もう僕はバールだけを信じて生きていっても不思議じゃない。
「バールさえあればなんでも開けられる」
僕の中で新たな哲学が生まれました。
無人島に1つだけ持って行くことがあったら、バールを1本だけ持っていくことにします。
ちなみに木箱の中の白い物体は発砲スチロールで、しかも安い発泡スチロールでボロボロと崩れるので処理に困りました。
木箱を開けるのが、大変。
発泡スチロールが砂のように崩れて細かく風に舞うので掃除が、大変。
アルコランプというのは、苦行の始まりでしかないですね。

木箱の中には、白い大理石が1つだけ。これが 60kg の土台です。
個体差はあると思うのですが、それ以前に大理石とは呼べないくらい模様は悪かったです。
高価なものを買えばこの大理石が非常に美しいのかもしれませんね。
この 60kg の大理石らしき物体を、1人で 2 階のリビングまで運んだのですが、かなり腰にくるので 正直 20歳代だったらやるものだと思う。学生時代に部活やってたせいか今のところ腰は無事ですが、正直、ドクターがつきっきりで張りついてくれなきゃやっちゃいけない作業だと思います。

石が移動できたとしても、組み立ても難解です。
何より説明書が全く分からない。
言葉で説明してない(できない)ので、パーツの形状を見ながら想像していくしかないのですが、アルコランプの実物を見て構造を把握している人じゃないと、かなりきついと思います。
ところで驚くべきポイントは、パッケージの中にはボルトはこの1本だけ。
つまり、このボルトだけで全部のパーツを支えていることになります。
アルコランプの設計の美しさというか、こういうところが凄いですよね。

アームが 4 本あるのですが、その中に電源コードを通していきます。
自動車に電子部品を追加するなどやったことある人なら分かると思いますが、ぐにゃぐにゃ曲がるコードを細い筒の中に入れていくのは、結構しんどいです。中でぐにゃりと曲がって詰まったりでなかなか先に進まない。この作業に 20 分くらい。ズボンで切れたパンツの紐を通す方が楽です。

電源コードは最下部のアームだけ中に通し、残りの3本のアームは「コ」の字になった間に収納するようにはわせるだけです。
これで電源コードは普段の生活からは全く見えなくなりスッキリした外観になります。この構造も美しい。
写真に見える2本の棒部分は、アームを連結した際に窪みにひっかけるためのものです。
つまりアームは、ここにひっかかって止まっているだけの状態。ボルトで止めたりしないのです。
後は自重でバランスよく固定されているのですが、思い切りぶつかったらこの連結部分は簡単に外れると思います。

最後に、この先端部分にコードを通していきます。この作業1時間半くらいかかった…。途中、何度も諦めようと思った。
この細い穴の中をぐにゃぐにゃ曲がるコードを差し込んでいくのですが、先端が2つに分かれてストッパーのような動きになったり、可動部分にひっかかったりで、なかなかうまくいきませんでいた。
最終的にコードが通った時には、思わずガッツポーズも出るぐらいの難易度。

アームを連結させて中にコードを通して、さらに先端にシェードを付けるのですが、これ1人で作業するものじゃないですね…。
折れそうなほどに曲がってバラバラに分解しそうなアームを抑えつつ、落としたら壊れそうな薄いシェードを片手に持ち、落としたら割れそうな電球を持ちつつ、コードの先端にある端子をシェード部分の金具にボルトでしめるためにドライバーを回す…という作業があります。
僕は1人でやり遂げましたが、ちょっとした奇跡をおこした気分です。
アルコランプ
かれこれ長時間かかりましたが、ようやく完成。
憧れのアルコランプです。
ぶらんぶらんと空中に浮いたシェードが不安定に見えるのですが、60kg の大理石が支えているので、ちょっとくらいじゃ倒れないという安定感は半端ないです。安定感というか、1回設置したら動かすのが結構大変ですが…。
僕はひきずって位置決めできるように大理石の下に雑巾を挟んでおいたのですが、もう取れなくなっています(汗)。
天井までの距離がどれくらいなのか分からなかったですが、普通の天井なら擦る高さです。
組み立て後で 2m30cm の高さがあり、組み立て中は曲がっていないので天井にくっつきます。
ウチは吹き抜けがあるので初めからそこに設置するつもりでしたが、天井が高くない普通の部屋の人は諦めた方がいいと思います。あと1人暮らしの人も諦めた方がいいかと。

デザイナーズハウス

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コメント

  1. ree より:

    はじめまして。
    アルコランプの購入を検討していて、こちらのブログにたどり着きました。
    途中から何度も吹き出しながら最後まで読ませていただきました。
    笑い事ではなかったんでしょうけれど・・・本当に大変な作業だったんですね^^;
    ほぼ買う気だったんですが、かなり二の足を踏みまくっています。
    大変参考になりました!ありがとうございましたm(_ _)m

  2. yasukawa より:

    夢のある照明なので、購入後の満足感はすごくあります!
    ただやっぱり設置は大変で、いま読み返したら何度も「諦めろ」と書いてあって自分でもなに書いてるんだと反省しました。
    60kg をなんとかできる体力と電源コードを通せる繊細さを兼ね備えている人にはおすすめします!

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