よく「感覚的」だと言われるデザインの世界にも、他人に説明するための、定量化のための公式というのがあります。
とはいっても、美しさを定量化できるわけではなく。
デザインの結果としての効果や機能を定量化できるというものです。
「ヴェーバー・フェヒナーの法則(Weber?Fechner law)」と呼ばれるものが、それ。
精神物理学と呼ばれる分野に属するもので、世界的にみても研究者自体は少ないそうなのですが、認知心理学では頻繁に利用される数字です。
ドイツの心理学者エルンスト・ヴェーバー(Ernst Heinrich Weber)がチャレンジし、その弟子である物理学者グスタフ・フェヒナー(Gustav Fechner)が数式化に成功しました。
なんで心理学者の弟子が物理学者なんだ? という疑問が頭をよぎりますが、フェヒナーは天才系の奇抜な人で、哲学者でもあったそうです。
なんにせよ、感覚の定量化が物理学者によって定義されたというのが面白いですね。
この公式には、様々な実験によって得らえたデータが活躍しました。
物理的な数字は図るのは容易い。
しかし人間の感覚というのは、身体のコンディションや外的要因によって、いくらでも変わってきます。
ヴェーバーは、アナログな方法で、物理的な数字と感覚的な数字がどれぐらい違いがあるかを調査し、その結果が公式となっています。
人が「重い」「寒い」「辛い」「明るい」とか感じるところ。
エアコンの温度を 1℃ 上げた程度では、人は暑いと感じない。
最終的にフェヒナーは、人間の感覚は足し算ではなく掛け算であるという定義をしています。
■ヴェーバー‐フェヒナーの法則 – Wikipedia
この法則を利用して決められたものの中には星の明るさを現す「等星」や「マグニチュード」などの単位があります。
これらは全て対数で定義されています。
非常に主観の入った感覚的な数字です。
デザインで大事なのは、明確な区別。
区別できるということは、理解・把握ができて、情報を選択できるということです。
僕がベトナムで飲食店に入った時、メニューに書かれた「海老の唐揚げ」は2種類あったのですが、それがどう違うかは外国人である僕には理解できませんでした。
その違いを理解することは「知識」であり「ノウハウ」であると思います。
ベトナム人であれば当たり前のことも、外国人には理解できないのです。
知識というのは、区別し把握すること。
日本でいえば「赤味噌」と「白味噌を」を説明するのに、「色が違います」という解答は果たして問題解決になっているのかというところ。感覚的ではない説明をするには、知識が必要になるのです。
改めて思えば、日本語のプロフェッショナルという言葉には、専門的知識・技術を有しているという意味もあります。
あたかも人の感覚では等間隔で分けられたように、情報を整理する。
僕らはあらゆる業種のデザインというのはインターフェースでもあり、その手助けをするものだと改めて思います。
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