台湾で先月末に開催された「YODEX( Young Designers’ Exhibition)」。第36回を迎えていますが、諸外国 ── 台湾のデザイン文化を知ることができる貴重な場です。
「ヤングデザイナーズエキシビジョン」という名前からも分かる通り、まだプロになる前のデザイン学部の学生による卒業展という位置づけですが、台湾国内の 100 の大学が集まるという、世界規模のデザイン展となっています。100校が集まるのは、他のイベントでもなかなかないのではないでしょうか。
■新一代設計展 YODEX
http://www.yodex.com.tw/
これだけの規模で開催できるのは当然国の後押しがあるわけですが、主催の台湾デザインセンターは国の予算で運営されており、外面ではミュージアムの運営という形態をとっていますが「台湾デザインセンター」は研究機関。国予算を投じてのデザイン研究と、その研究結果を国内企業にフィードバックするという役割を持っています。
なぜ、こんなにも台湾という国?が「デザイン」に力を入れ始めているかですが。
古い歴史から外国の製造業の下請けという役割に甘んじてきた台湾ですが、現在では他のアジア諸国のさらに安い労働力に業務を奪われ、製造業が低迷しているという背景があるようです。
つまり、自分たちの、オリジナルのデザインの製品を作らなければ、生き抜けないということですね。
国を挙げてのデザインの研究・クリエイティブ産業への転換は、そういう切実な理由があるのです。
日本は豊かなためか、早くから「デザイン」というイメージは芸術史など趣味に代表される文化面でのゆるふわ体系的な学問と思われるようになっていると思うのですが、アジア諸国にしてみたらデザインはバリバリ理系な工業大学で学ぶインダストリアルデザインが普通のデザイン。グループ会社のデザイン系スタッフはそういう出身多いし。
世界市場を生き抜くためのスキルがどちらなのかは明白になってしまっていますが、なぜこんなにも島国なのだろうかと自己嫌悪になってしまいますね。
コメント