シルエットを見ただけで、それが何なのかが分かるデザイン。
デザインとしては理想的な形で、僕もそういうものが優れたデザインなのだと教え込まれたので、そういう頭になっています。
だからごちゃごちゃしていて色数が多いものより、シンプルで分かりやすいものが好き。
形がトレードマークとして広く認知されているものも多くあります。
例えばコカ・コーラのボトルとか。あのくびれたラインとか綺麗ですよね。
世界レベルで考えたとしても、日本人が作ったデザインの中にも、そういうものがあります。
誰もが一度は触ったことのある、オフィスにも家庭にもある普遍的な飲料。
そうです、日本が誇る乳酸菌飲料、ヤクルトです。
デザインしたのは、日本を代表するインテリアデザイナーである剣持勇。
■剣持勇 – Wikipedia
■Isamu kenmochi 剣持 勇(家具一覧)
最近、家具選びをしているので必然的に家具系デザイナーの知識が溜まりつつあるのですが、柳宗理さんとかと一緒にやたら名前が出てきます。ラタンチェアや柏戸イスを作った人ですね。ラタンチェア c-3160 はニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久収蔵品に選定されてもいます。
立体商標をめぐりいろいろな問題もありましたが、現在では正式に認可。日本が誇るプロダクトとなっています。
この容器のデザインや開発ストーリーには、熱い物語があります。
重いガラスの容器を運ぶヤクルトレディの負担を軽くするために、新しく開発されたプラスチック容器。
中央部が深くくびれた形はグリップしやすさの他に、一気に飲み干せないようにするなど、その形にはたくさんのメッセージが込められています。
デザインの勝利というよりは、その総合的な「商品力」がストレートに形として具現化されたとみるのが正しいでしょう。
日本ではグラフィックデザインがデザインというイメージがありますが、本来は設計などの意味。
そこには材質や製造技術などのあらゆる問題を解決するというインダストリアルデザインの本質が垣間見ることができます。
ここで説明するより、下記のコンテンツを読んだ方がいいです。
熱くなるのはもちろん、涙さえ誘います。
■ヤクルト ニッポン・ロングセラー考 – COMZINE by nttコムウェア
http://www.nttcom.co.jp/comzine/no035/long_seller/index.html
世界共通語のわりに誰も知らないという、エスペラント語が名前の由来というのも面白い。
ヤクルトという企業が素晴らしい功績と影響をもたらしているのは当然なのですが、数年前に英語圏のニュースでちらっと見た記事が僕のハートを射抜いています。
もう既にどこで見たのかどんな内容だったのか覚えてないので、おぼろげな記憶を頼りに探しましたが、ちゃんとした新聞社のサイトには残っていないようで、もうすぐ消えそうな下記サイトに残っているのを見つけました。
■日本が誇るあの乳酸菌飲料、原因不明の病気に苦しむ子どもを助ける?英国
http://www.web-tab.jp/article/5973/
当時は、UFO のように不確かでジョークのような扱いの記事だった気もしますが・・・。
原因不明の不治の病である子供にヤクルトを飲ませたら、たったの2日で病気が治ったという内容です。
仲間内では「ヤクルト万能すぎwwww最強wwww」みたいに盛り上がっていたのですが。
これ、今で言うステマではなく、本当にニュースとして流れた内容なのです。
その後どうなったのか分からないですし、ヤクルト側が正式に販促利用していないことを考えると関係性は薄いかもですし、世の中が英雄を求めようとするがためにごく一部分だけを都合よく解釈して祀り上げている、というような事実もあるでしょうね。
そういえば半年前くらいに会社に来たヤクルトレディ様に上記のことを話したら「知らない」と一蹴されました。
それでもヤクルトという商品が開発されるまでに多くの人が弛まぬ努力をし、それが世界に認められた。
この事実は変わりません。
当時まだ珍しいエリアマーケティング&ダイレクトマーケティングを確立させるなど新しい発想やあらゆるチャレンジがあったせいもあるのですが、商品を含めて、日本が誇っていいデザインといえますね。
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