うまくいかないと、よく分からない愚痴をいう新卒後輩と同じ状況になってそうな人たちのためにメモ。
デザインを習う時、今までどんな課題をやってきたかというと。
多くの学生さんは、牛乳やビールのパッケージ。WEBなら、バナーのデザインかと思います。
一応、理由があって、これらは普段誰でも目にしているので、「気づき」の確認ができること。
また、いざ自分が作ろうとした時にイメージを具現化しやすいからだと思います。
両方とも、本来のデザインではなく。完成物にビジュアルをのっけるだけというところも説明不要で完結しやすくていいですね。
ところで、ビールとか牛乳を購入する時って、原材料なんかを確認しますか?
購入する時は賞味期限だけは重要視する人は多くとも、どんな材料でできているかとか、そういう技術面で商品を比較している人はいないと思います。
ビールを購入する時、牛乳を購入する時。
私たちは、パッケージデザインで選んで購入しています。
スペックや金額ではなく、デザインで選んでいるのですよね。
何種類か飲んでみて「お気に入り」を見つけることはあっても、最初の1手は、必ず第1印象のデザインで選んでいるのです。
そう考えると、牛乳やビールのパッケージデザインの課題って恐ろしいですよね。
自分の「ビジュアル化」の能力が、ダイレクトに評価されるのですから。
でも、仕事になればデザイナーが生み出すものは常に誰かに比較され、好き嫌いを判断されています。
たくさんある中から、たったの1つを選んでもらうために。
デザイナーは智慧と工夫(そして体力)を使って、あらん限りの時間に全力をつぎ込むのです。
たったのひとつに選ばれるためには、自分の好みを捨てないといけないし、他に勝てるだけの要素を入れる必要があります。
その要素を工夫して作るのが、デザインの面白いところだと思うけど。
おそらく、学生さん達がやってきた(つもりの)デザインは、自分の好みのデザインを具現化したものだと思います。
自分のデザインを説明し、とてもかっこよく言葉を並べ立てても、とりあえずは自分の好みで作ってるだけです。
誰も幸せにはしません。自己満足の小さな世界。
仕事になった時にやらないといけないのは、相手が望むデザインを具現化すること。
相手が抱えている問題、相手が望む結果。それらを解釈して把握するというのがデザインという仕事です。
他人のお金をもらって、自分がやりたいこと・作りたいことを押しつけるとか、そういうのいらないのです。
極論、上司の好みとか意見に合わせるのもいらないのです。
その意識と行動の違いが、アマとプロの違いであり、差です。
そこが自分の中で把握できない限り、「学生デザイン」からの脱却はできないと言われ続ける。
必要なのは、ヒアリング。
あ、そうそう。
「言われているうちが花」で、言ってくれてるうちは、相手は貴方をどうにかしようとしてくれているのです。
人生って、深いね。
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