ミステリなのか分からない漫画。儚くも温かな、薄くて厚い漫画。


いま読んでる漫画が、とても面白い。「ミステリと言う勿れ」田村由美(著)。先月発売されたばかりの第8巻も寝不足になるかと思うほどのめり込んで読んでしまいました。良いところで終わってしまったので続きが気になる~。早くコミックス第9巻でないかな。鬼滅の刃も面白かったし、炭治郎の優しさにほろっときたけど、同じような空気を感じた。
この方の漫画は初めて読んだのですが、他のシリーズも読んでみたくなりました。
間にちょいちょい挟んでくるウンチク知識や、美術史の言葉、哲学めいた考え方。僕のような認知心理学をやるデザイナーにとっては大好物です。
そういえば線が細い絵だな、と思ったら、この漫画は「少女漫画」に分類され連載されているそうです。僕の知ってる少女漫画のストーリーじゃねぇ……。
主人公は、たぶんドラマになったら大泉洋が演じるような真面目に癖のあるキャラクターで(主人公は学生なので年齢的には大泉洋が演じることは無いはず)、性格に難があるけど憎めず、そして人情味にあふれているという人物像は読み進めやすく、どこに謎があるのか謎のまま進むという一風変わった展開にグイグイ引き込まれていくストーリーです。
先週から夜寝る前に読み進め始めて、先が気になってワクワクする感じ、ひさびさに味わえました。


こんな面白いマンガが何で世の中に評価されていないんだろうと思ったら、既に数年前から何度も各メディアで「面白い」と取り上げられているマンガなんですね……。
ミステリと言う勿れ – Wikipedia
タイトルに「ミステリ」という言葉がある通り、推理の要素があるのですが厳密には推理ものの様相ではないような。
Armchair Detective (安楽椅子)型探偵のように、ほとんど場面展開をせずにその場でめまぐるしく話が進んでいくのですが、なぜ漫画という媒体でこのようなカタチのクリエイティブを発表しているのか意味不明。小説とか原作とかそちらの方が全然発表媒体として合っているはず。
主人公は「ぼっち」で友人も恋人もいない天パで、日常の中にふとした違和感のような「何か」に気づき、気づいてしまったことで解決しようと事件に巻き込まれていく、そんな日常の話(?)です。コナン君もびっくりの犯罪遭遇率ですね。
主人公のキャラクターも愛らしくどこか哀しくもあるのですが、コミュ障っぽい言動をする割には他人のために言葉をかけたり、自分の想いを必死に伝えようとしたり、多くの漫画が熱血努力型なのに対し、どこか草食型の努力のような、ほほえましいところもストーリーを面白くさせていると思います。
また、美術館に行くのが趣味のような描写もありデザイナー的には興味深いところだと思うのですが、出てくる単語は美術史の人名や絵画などで、とくにデザイン的なところに焦点をあてるくだりなどはありません。
美術史の単語がポツリポツリとよく出てくるので作者さんが美大出身なのかな、と思ったのですが、調べてみると金城大学短大卒という情報があったので、その情報を信じるというなら教養として身に着けているみたいですね。
ここまでで気になった方は、第1巻だけ無料で読めるので、読んでみてほしいです。
面白いと思ったら、徹夜で8巻までどうぞ。
コミックシーモア
まんが王国
        

2021/01/28
美大受験をテーマにした漫画と YOASOBI の曲
YOASOBI の「夜に駆ける」が市場で熱く売れまくっているということですが、どっちかというと「群青」の方が好き。「群青」はデザイナーにも馴染みがあり、美大受験というニッチなテーマを描く漫画「ブルーピリオド」にインスパイアされた曲として有名です。美術やデザインをテーマとした漫画って珍しいですね。いろ…


2021/02/17
決める時に決めるサッカー漫画
熱くなれるので時々読みたくなるのがスポ魂漫画。特に僕はサッカー漫画とか好きなのですが、多くのサッカー漫画って遅かれ早かれ大抵主人公が世界に通用するようなスーパープレーを連発する超天才プレーヤーが主人公っていうのがほとんどです。大抵「どうせ勝つんでしょ」みたいな先読みができてしまう展開がほと…


2020/12/09
日常+ロボット漫画「バトルグラウンドワーカーズ
ロボット漫画が見たいなぁと言っていたら、漫画仲間から教えてもらいました。「バトルグラウンドワーカーズ」。僕は結構、面白く読み進められました。現代が舞台、30代ニートのパッとしない主人公が人型兵器のパイロットして戦う、という物語です。確かにロボットは登場しバトルをするのですが、汎用量産型…


2020/07/06
群像と真相
漫画で有名な某企業様と ZOOM で打合せしてたんだけど、「最近なんか読みました?」と聞かれたので、わざと他社のタイトル答えたんだけど。参加してた担当さん2名の両方とも、そのタイトルを知らなかったんですよね。


2018/12/03
フットボール・ネーション
サッカー漫画と見せかけて、スポーツ科学マンガ。情報商材系でマンガコンテンツにしたてたものがあるけど、よくあるのが「何も知らない初心者」の疑問に「詳しい先輩」が正解を教えていくという形。あんな感じにストーリーが展開していくという、冷静に客観視すると気色悪い描き方。これ1人で描いてるんだぜ?…


コメント

タイトルとURLをコピーしました