──「アート」と「デザイン」は違うんだよ。
好き勝手なものを作る新人デザイナーが、必ず先輩から言われる一言。
自分の作りたいものを作ってしまっては駄目。
お客様の作りたいものを作ってあげることが、夢を叶えてあげるのが僕らのお仕事だから。
でもやっぱり「アート」という、夢を見るかのような感性を表現した一連のものは、僕らの心を捉えて離しません。
1994年に発表された、クリスタ・ソムラー(Christa Sommerer)&ロラン・ミニョノー(Laurent Mignonneau)の「A-Volve」。
■A-Volve (ICC ONLINE) ※写真があります
タッチスクリーンに形を描くと、それが仮想生物となって創造されます。
自分が創った仮想生物は、立体的な3次元CGとなって、テーブルのような大きな水槽に投影されます。
これだけだと鑑賞する楽しみがあるだけなのですが、A-Volve はここからが違います。
観客たちは、水槽に手を突っ込んで自らが創り出した仮想生物や他人の創った生物に触れ、コミュニケーションをとることができるのです。仮想生物のCGは、観客の手の動きに合わせて敏感に反応し、リアクションします。
コミュニケーションをとることで、すくすくと育った仮想生物は、それぞれの「人生」を体験し、成長していき、やがて進化と淘汰の生存競争を繰り広げます。
そうです、A-Volve は単純なインターフェイスの技術ではなく、水槽の中に人工生命環境を表現するというものなのです。
クリスタ・ソムラーは日本の大学で研究していたこともあり、ランダム生成した論文を学会に発表したとも噂される奇抜な発想の人です。
「生命システムとしてのアート(Art as Living System)」、素晴らしいアートです。
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