今年1年のデザイントレンドを考えると、アレだったりアレだったりするのですが(自分が制作する際に使いづらいので自主規制)、話題になったものといえば、ドナルド・ノーマンが今年に入ってすぐに書いたコラム「Don Norman: Does Culture Matter for Product Design?」が様々な議論を巻き起こしました。
■Does Culture Matter for Product Design? – Core77(英語)
http://www.core77.com/blog/columns/does_culture_matter_for_product_design_21455.asp
要約すれば、世界規模で考えれば、人間は異なる文化で生活しているので「人間中心」デザインでは多種多様になってデザインが対応できなくね? 的な論旨です。いや、それだけじゃないけど。
あれだけ人間中心設計を謳ってきたノーマンがデザイン業界で支配されているとでも過言ではない人間中心デザインを疑って「人間中心設計思想って、これでいいのかな・・・」と考えるのは、アフォーダンス事件を思い出せば想像できないこともないのですが。
ノーマンの新しい提唱は「Activity-Centered Design」、直訳で「活動中心デザイン」になります。
デザイナーが作るのは、人間に合うようにデザインして作られたモノ。
ところが、今、周囲にある日用品など見回してみればそのようなデザイン設計思想によって作られたものは少なく、制作者が自分の経験や顧客の声を聞いて時間をかけて改良を重ねてきたもので、「活動」というよりは「生活」の中で産まれたもの。
企業が売るモノは、欲しいと思わせる素晴らしいモノではあるのだけど、だけど道具としては使いづらい。
iPhone を電話として使ってる人、なんで我慢してまで使ってるの。もう慣れてきたけど。
洗濯バサミは非常に汎用的で、洗濯物を干す以外にもポテトチップスの袋を閉じたりなど様々な使われ方をする。
モノが「道具」となって、人に使われるが、それはメーカーによって指定された使い道ではない。「ポテトチップスばさみ」として同じモノを売り出せばデザインにはらない。
デザインは、デザイナー側でなく、モノを使う側が行使しているものではないのか。
行動を観察し、考え、行動に合ったものをデザインすることは、その人の生活を優しく支援することができるのだと思う。
ノーマンの提言は、自分自身で問題提起し、外部に意見を求め、その意見を聞きつつさらに考えを述べ・・・という風に議論式に展開しており、まだ完結はしていません。
非常に刺激的で勉強になる内容なので、この後どのように進むのか注意深く追いかけたいです。
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