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一見、スケッチのように見えるモノクロの絵、これは昔あったカセットからテープを引き出して作られたものです。
絵の雰囲気のさることながら、カセットテープというノスタルジックで情緒的なアイテムを使っているというところに、デザインセンスを感じますね。
映画用のフィルムをを引き出して作られた作品は、往年の映画スターや映画監督。
音楽用のカセットテープを引き出して作られたものには、往年のミュージックスター。
録画・録音された映画や音楽の世界の中から、テープを介して立体的に飛び出してくるというイメージが、作品として非常に完成されているように感じます。
この作品は、アメリカ・ジョージア州の女性アーティスト Erika Iris Simmons(エリカ・アイリス・シモンズ)さんが作ったもの。ペンで描かれているようにも見えるのですが、全部テープで作られているそうです。
技術的にも凄い!
かなり多くの作品があるのですが、どれもこれも臨場感があり、芸術作品としても素晴らしいです。
実物を見たら震えが走りそう。
下記サイトでも、作品を垣間見ることができます。
■iri5.com(公式)
http://iri5.com/
■作品など
http://weheartit.com/tag/erika%20iris%20simmons
ユニークだと思うところは、過去の技術で忘れ去られつつある「カセットテープ」「リール式フィルム」など倉庫に眠ってしまっているアイテムと、その媒体で活躍したスターたちの偶像を結びつけているところ。
輝かしいスターたちの栄光と、当時の最新技術。
それらが、後世の新しいものに抜かれ、やがて消えていくという、少し哀しい時の推移を感じることができます。
次々に新しいものが生まれる。
飽きる前に、もう次の興味に移っていく。
飽和の時代に、そんな風に人の生活は豊かになっていくのだけど、その場に取り残されていくものたちの想いはどうなるのだろう?
デザインが人の生活を豊かにし、アーティストというのが問題提起をしていく存在だというのなら。
この作品は芸術作品として、人々にいろんな問いかけをしている。考えさせられる。
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