ひとりのガッチャマンより、みんなで助け合うSNS。


最近、次世代 サービスのことについて考えたり、市民と役所を結ぶアプリ「PublicStuff」が面白そうという話題もあり、ちょっと前から書こうと思ってたことを、いまさら書いてみる。
SNS をデザインすることがあるなら一回見ておけ、と友人に薦められた、(映画版「ガッチャマン」の販促用に作られたような)「ガッチャマン・クラウズGATCHAMAN CROWDS)」というアニメ。
Pixiv という自分が描いたイラストを共有するサービスがあるのですが、そこで有名になったイラストレーター「キナコ」さんがキャラクター原案として起用されたりと、わりとネットを有効活用した作品である、ということはさておき。
あ、「クラウズ」という単語は、IT業界でいう流行の「クラウド(cloud computing)」ではなく、群衆と言う意味の crowds です。
その「ガッチャマン・クラウズ」に登場する架空SNS「Galax(ギャラックス)」について。
昔ながらのガッチャマンといえば、人知れず(?)悪の組織と戦うヒーローなのですが、この「ガッチャマン・クラウズ」では、孤高のヒーローと SNS の対比のようなものが描かれています。
劇中に登場する「Galax」という SNS は、AI(人工知能)に対して音声入力で情報を引き出すという素人でも扱えるインターフェースに持ち、画面はアメーバピグのようなアバターが仮想空間を歩いてコミュニケーションしているような楽しいイメージ。技術的なことはさておき、未来にあったらいいなの理想的な SNS になっています。そして何万人もの利用者が、この Galax を通じて繋がって生活を豊かにしているのです。
そして緊急時や困った時には、近くの専門家の力を借りたり、人と人を繋げるマッチングサービスも行います。
階段から落ちた人を発見したことを報告すれば、近くにいる看護師を見つけ出し、現場に呼んでくれる。
丁度、市民と役所を結ぶアプリ「PublicStuff」の上位版といった感じですね。
トンネルが崩落すれば、位置情報から付近にいる警察関係者や救護スキルを持つ人に呼び掛けて事故現場に導き、怪我人を前にしてどう対処したらいいか分からない人には、救急車を呼ぶ手順と応急処置の仕方を表示する。
困っている人を助けることに成功した人たちが口にする言葉は、下記の通り。
Galax(SNS) があれば、ガッチャマンいらなくね?


そんな風に一般人にヒーロー不要論を言わせるスーパー SNS「Galax」のキャッチコピーは、下の通り。
『世界をアップデートさせるのはヒーローじゃない。僕らだ。』
ちなみにガッチャマンは誰もその姿を見たことが無いので、都市伝説のような存在になっています。
把握できない・得体がしれない、という理由で「謎の生命体」と認識された「敵」とバトルを繰り広げるガッチャマン。
誰かに依頼されたわけでもなく、自分の意志で、人々のためになるならと、人の知らないところで戦い続けている影のヒーロー。
一方、架空SNS「Galax(ギャラックス)」の利用者である一般人たちは、ネットを通じて繋がっている利用者同士で助け合い、お互いのスキルを補完し合っていろんな問題に連携して対処し、様々な問題を解決して社会をよくする大活躍、といった感じ。
Galax の画面デザインや利用イメージは、下記のブログで詳しく紹介されています(ページの中盤くらい)
画面デザインは、めっちゃ可愛いです。
アップデートされるヒーローと世界「ガッチャマンクラウズ」 – 藤四郎のひつまぶし
http://d.hatena.ne.jp/alphabate/20130721/1374402608
漫画やゲームの世界では、一人のヒーロー(勇者)が世界を救います。
市民や街中の人達は、ただ勇者がふらりと現れるのを待っている。自分たちでは何もしない。
ドラクエが分かりやすいですが、世界を悪くしているのは魔王で、魔王という敵ボス1人を討ち取ってしまえば「やったー世界を救ったぞ!」というハッピーエンディング。でも世界に放たれているモンスターたちはどうなるんだろう・・・。
劇中の Galax という SNS は良くできたコミュニケーションツールというより、まさに社会のためのグループウェアのような存在で、インターネットの便利さをさらに加速させるような現実味のある夢のシステムなのですが・・・。
視聴する可能性のある人のために多くを語るのはやめますが、ストーリーが進むにつれ、ネットの問題や恐ろしさのようなものも、劇中では垣間見えます。
「だって、Galax がそう言ってるし」のような盲信。
便利すぎるツールだからこそ、Galax から提供された情報の真偽を疑わない。国民全員の総意のようなイメージを持っている。
性善説だからというわけではないでしょうが。
僕も以前、とある新しいコンテンツを考えてチーム作ってやろうとしたら、「検索したけど、検索にひっかからなかったので、それは実現出来ないと思います」と言われた時にはビックリしました。
そりゃまだ誰も作ったことないコンテンツだから存在しないと思うけど・・・ネットに載ってないから「できない」「作り方が分からない」っていう感覚になるのは、もう現代病だと思う・・・。
というわけで、SNS についての認識を改め、考えさせてくれる作品になっています。
ツールが便利になろうが、それを使うのはやっぱり人間。
情報が氾濫し、位置的にも時間的にも離れた人と繋がることはできるけど、コミュニケーションは難解で、人の心と心はまだ繋がるところまではいってない。こんなに対人関係や行動は可視化されているのに。
コンビニ冷蔵庫事件など、ネット炎上やネット犯罪ばかり目にするけど、ネットの力とはこんなことにしか使えないのか。
インターネットの普及段階は終了し、ここからの未来はインターネットを利用したコミュニケーションデザインをどうするかという時代にいよいよなってきたのだと思います。
ヒーローに頼らない、自分だけがヒーローのつもりになる。そんな小さいことではなく、ささいな困ったことをみんなで解決しありがとうの気持ちで「相手をヒーローにしてあげる」。
世の中は良いことばかりではないので、誰かの残念な気持ちを共有し、問題を拾い上げ、そしてシステム化された実行力で問題解決する。
連絡ツールというよりは、心情のシェアとそこから派生するであろう困ったこと・やりたいけどできないこと。
解決に向かう際には、途中経過を含めた可視化と、同じ悩みを抱えてそうな人へのリーチ(レコメンド)。
人はいったい何を伝えたがっているのか。何がしたいのか。
人が人に伝えきれない部分を、ツールを使ってどうデザインするか。
そんな壮大なテーマをどう理解し分類し、最終的に整理するのかというところに焦点がありそうです。
さて、これからどんなツールが世の中に出てくるんですかね?
■OPムービーのお洒落っぷりは異常


動画リンク:http://youtu.be/_rjgqU34B3s
□番組視聴 ガッチャマン クラウズ【日テレオンデマンド】[テレビドガッチ]
※テレビ放送終了していますが、ネット配信でも視聴可能(有料)
http://dogatch.jp/video/program/1831280
■ガッチャマンクラウズが予想以上に面白いアニメだった、という話 – SwatzLabo
http://www.swatz.net/entry/2013/07/30/203705
■『ガッチャマン クラウズ』を薦めたくなる三つの理由。 – 脳髄にアイスピック
http://d.hatena.ne.jp/Lobotomy/20130731/p1
■ガッチャマン クラウズ|日本テレビ
http://www.ntv.co.jp/GATCHAMAN_Crowds/
■マルボタン/キナコ(公式)
http://marubotan.jimdo.com/
    

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