トロンプ・ルイユと VR と WEB


PSVR がとても楽しくて、ウチに帰って被ってはいるのですが数分で酔って気持ち悪くなるので、「猫好きなのに猫アレルギー」という人のようなジレンマを身をもって感じています。
仮想空間内で銃を自由自在に撃つのとか楽しい。実弾撃ったことないけど、難しいんですね。
後はカーレースも楽しいですが、周囲の景色が流れるスピード感とタイヤのきしむ音ですごい酔う。身体めっちゃ動くし。
で、仕事柄知りたい、PSVR で得られる体験がどこまでがどうなんだ? という部分。
ソファに座っているとそれほどでもないのですが、床に立って体験していると空間把握ができなくなってきてすごく没入していくのですが。そんな状態だと思わず仮想空間へと思わず手が伸びてしまう瞬間があり、そうすると部屋にぶら下がっているアルコランプのシェードに手が当たったりする事故があります。
視界情報と触れた情報とが違うので、現実がどっちがどうなんだか混乱するような時があります。この一瞬の恐怖感がすごい怖い。
CG だと分かっていて見ていると「だまし絵の空間」だと斜に構えて見ていられるのですが、逆に仮想空間の中に無い現実のオブジェクトに触れてしまうことでビックリしてしまうという、逆のドッキリですね。


デザインの世界には、こんな高度な最新機器を使わないで工夫したアナログの技術もあります。
Trompe-l’?il(トロンプルイユ)、最近では英語の「トリック・アート」という言葉の方が浸透していますが、騙し絵の技法です。
壁に描かれた存在しない窓や、開いていない床の穴など、いろいろありますね。
最近は、子供向きの企画展などでも多く見ます。
WEB ではこの トロンプ・ルイユ 起源の技術はたくさんあります。
画面を見ながら入出力をするインターフェースのため、ボタンっぽく見せるために立体的なグラデーションを付けているものとか。影を付けて陰影を表現してリッチに見せているビジュアルとかも多いですね。でも、ほとんどのグラフィックでは光源を考えない変な陰影なので、見ているこっちが混乱するようなものとか多いです。どんな立体でどっちに光があるの、みたいな。
現代ではフラットデザインに代表されるように、シンプルでミニマムなデザインが好まれるようになってきて、過剰な装飾や表現が消えていっています。錯視を使った技術は廃れてより実用的・より現実的なリアリティを求められてきているようにも感じます。
デザインはデザイナーからのアウトプットで終わるのではなく、受け取った閲覧者側がどう感じたかというところまででデザインの完成だと思うのですが、「万人がデザイナー」という時代がそろそろ来ているのかもしれないですね。

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