ベトナムの美術博物館を見てきたけど、意外な見るべきポイントだった


ホーチミン(ベトナム)にある美術博物館へ行ってきました!
「美術館」ではなく「美術博物館」というのもポイントですが。
基本的に戦争のあった国ではまともに美術品は残らないはずなのですが、もともとそんなに芸術家が多い国ではないようです。
国家としては、戦争や独立など過酷な生涯を刻んできた国ですので、歴史的にみても面白い軌跡が多いのですが、なんというか・・・。



チケットは100円くらい。

入口入ってすぐにあるこの小屋の中にいる、お姉さんから購入します。

1階は現代アート、2階は写生画や彫像、3階は古代の造形物となっています。
中庭をぐるりと囲む形で建物が入っていて、各部屋に美術品が無造作に置いてあります。

部屋と部屋の間はバルコニーになっているようなところもあり、なかなか素晴らしい。
無造作に置かれた美術品から美術品に移動する束の間の間に、外の空気で一服できる感じ。
また、ベンチもいたるところに置いてあり、無造作に置かれた美術品を眺めるのに疲れた場合も、便利です。

テーマは戦争のことを扱ったものが多く、ちょっとどんより気味。
アートとしてというより、思想の博物館といった感じ。

現代アートの方は、とても下らない。
名誉欲なのか知らないけど、奇をてらったような、変な作品が多い。
それこそがベトナムアートという一分野なのだ、というなら、それでいい。
僕には時間の無駄だった。

絵画の一角も、学生が描いたようなの多かった。
っていうか、本当に学生が描いた練習画を集めたコーナーだったのかもしれない。
うまい写実画とかもあったけど。

中国系の作品も多く、ベトナムの歴史上なんで中華が・・・とその時は思ったけど、帰って文献見てたら、このコレクションの持ち主が大金持ちの華僑だったようですね。

館内の窓は開け放たれ、太陽光は部屋内に照らされているような状態。
ガラスケースは隙間だらけで、埃の侵入も用意。
美術に対する敬意というのが感じられない、ちょっとふざけてるような扱い。
貴重な現有資料をこんなに無造作に扱う国民性なのか? かなり衝撃を受けました。
「現在だった過去のもの」というのは、もう2度と作れないものなのに・・・。

子供たちの書いた絵も展示されてた。
館内でこれが唯一、足をとめてしまう気がする。
子供のほうが、純粋で、絵を描く楽しさを追い求めているからこそ、余計なものが入ってこなくていいのかもね。

子供の描いた絵には、それぞれタイトルがありました。
「戦争に行ったパパに、早く会いたい」
「早くパパと遊べることを願って」
「パパが帰ってきた!」
子供たちは寂しさを紛らわすために絵を描き、幼いながらも母親に言ってはいけないことをなんとなく感じ取り、口に出さずに強くあろうと「ささやかな願い」を絵の中にだけ留める。
子供たちの強さや、祈りが。
誰に向けられているものではない、いろんなメッセージや想いが。
このたちが幸せな人生が送れることを、祈らずにはいられない。

ちなみにこの場所、人がいないことで有名で、人とすれ違うということが全くありません。
結構な都会の場所で、周囲も車がバンバン走っているようなところなのですが、この場所だけガランとしています。
静かなので、ベンチに腰を下ろして読書を楽しむ場所としては最高だと思います。

最後に。
展示されているベトナムアートというのは、正直僕の嗜好には全く合わずに見るべきところがありませんでしたが、最大の見るべきところは、この建物です。
美術品そっちのけで、この建築様式を見て回るだけでも、かなり価値があります。
入場料100円なんて安いくらい。
フレンチ・コロニアル様式で、これだけ巨大で、中を歩けるというのは、なかなかできない体験だと思います。
手摺に使用される繊細なアイアンや、床に敷き詰められたアンティーク・タイル。優雅ならせん階段に高い天井。
ポーチのある広く豪華なフランスの建築に、藤で作ったようなアジアの家具などが組み合わさって、独特のラグジュアリー感があります。
タイルの模様や造形は見事で、組み合され方とかを見ても、なかなか工夫があって面白いです。
各部に散りばめられた様々な模様。
無駄に細かく美しい装飾には、目を奪われること必須です。
これ、人間の手が作ったんだぜ?
フレンチ・コロニアルの建築の特徴のひとつでもある、外壁の色。
壁が黄色いのは南フランスの特徴で、なぜかというとその土地の石材がすでに黄色いからです。
作った人は南フランスの出身なんでしょうね。
そのフランスを現す壁の色を使うことで、この風景はフランスのものなのだという威圧する植民地ならではの文化。
それはともかく。
フレンチ・コロニアルのようなミックス文化には、ミックスならではの見るべき面白さがあります。
何が取り入れられ、何が淘汰されたか。
美しいとされたものが何で、要らないとされたものは何なのか。その取捨選択。
多様性を見せる濃縮された文化というのは、それだけ面白いのです。
心残りは、アンティークのエレベーターが現役で動いているらしいのですが、僕が行った時にはメンテナンスだったのか、稼働していなかったところ。残念。
でも、この場所・建物は細部が美しいので、もう一度よく見てみたいですね。
■B?o tang M? thu?t Vi?t Nam – Vietnam Fine Arts Museum(公式・英語あり)
http://vnfam.vn/

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