昨年よりクリエイターの中でじわじわと広がるキーワード「IoT」。
「loT」ではなく「IoT」。その字面から、よく「エル・オー・ティー」と間違われていますが「アイ・オー・ティー」です。
すなわち、「モノのインターネット(Internet of Things)」の意味を指す、ものづくりの人なら、そわそわしてしまう言葉ですね。
「ものづくり」×「インターネット」。
うん、これ以上、浜松に相応しいキーワードはないんじゃないでしょうか。
「IoT」は概念的な意味合いが強いのですが、要は、モノ自身がネットワークに繋がった状態のものです。
人間の操作で信号を送る、というのが今までの「モノ」。
「IoT」はモノ自身が組み込みセンサーを使用して得たデータを、ネットワークプロトコルを介して他のデバイス同士で相互にデータ通信する機能というのが新しい概念です。
言葉だけでも、もうワクワクしますね。
モノのインターネット(Internet of Things、IoT)は、一意に識別可能な「もの」がインターネット/クラウドに接続され、情報交換することにより相互に制御する仕組みである。「Internet of Everything」や「Smart Everything」、「サービスのモノ化」ともいう
実例:キリンの光るペットボトルキャップ「Illumicap」
キリンといえば、誰もがよく知る飲料メーカー。そのキリンが手掛けているのが、光るボトルキャップの形をした IoT デバイス。
加速度センサーの動きで光の色が代わり、スマホから流れる音楽の波長で変わり、スマホをコントローラーとして使う。
「喉を潤すドリンクを提供する」というサービスだけでなく、ドリンクのあるシーンを演出するという考え方も取り入れ始めるというのは時代の流れを感じます。
ただモノを作っていればいいんだというメーカー主体の考え方からブレイクスルーするための、新しいチャレンジ。
このボトルキャップひとつを渡された人には、それをどう使うかがまだまだ熟成されていません。市場効果も無いと思います。
クリエイターやメーカーの役割は、「面白いモノを作ること」ではなく。
シンプルにすることで、面白いことをやりはじめる人のためのステージを用意してあげることだと、僕は思います。
たぶん、このボトルキャップも、自由な発想で使い始める人が現れ、それが当たり前になってくるような可能性もあるのではないでしょうか。
しかし、キリンという飲料メーカがこのような飲料と直接関係の無いデジタルプロジェクトを推進するというのは、正直驚きです。
そのチャレンジする姿勢に、僕はキリンがちょっと好きになりました。
■Illumicap | イルミキャップ
http://www.illumicap.com/
ビッグデータとの連携
そもそもの IoT の始まりは、「ビッグデータ」の爆発的なブームだと言われています。
ビッグデータを使った世界の分析とデータの利用は、あまり進んでいないのが現状です。
何故かと言えば、揃っていると思っていたデータが、想定以上に取り出しにくかった&使いづらかった。既存のシステム屋さん達の怠慢とクリエイティブの無さだと、正直に思います。
膨大なビッグデータをどのように取り出しアクションさせるかという技術は、これからの花形舞台。
センサーを取り付けたモノにデータ送信させる技術は加速度的に普及しているので、生活を変革させるモノが明日でてきてもおかしくない状態ですね。わくわく。
あなたは、そこにいますか
2000年初期には「ユビキタス」という概念もありましたが、規格化されることなく、なんとなく誰かがやってくれるだろう的な雰囲気をかもしだしつつ結果的にインターネットが発展したものでした。神様のようになんとなく万物に宿っているような、そんな存在のインターフェース。クラウドのようなあやふやな概念を経由しつつテクノロジーは発展し、遂にあらゆるモノがインターネットにつながる時代がやってきました。
センサーが世界を分析し。ビッグデータが解析の手助けをする。
今では機器同士が勝手に通信を行い、人が何もしなくても「最適な体験」を提供してくれます。
不思議なことに、技術はどんどん進化してきますが、それをどう使うのかのアイデアは低迷しています。
人を介さない機械どうしのセンシングや相互通信が、逆に人の「経験」も「感」も奪う形になっているのでしょうか。
IoT×デザイン
IoT プロダクトを多く世の中に排出し認められているのは、やはり「チームラボ」でしょうか。
システムやネットワークなどの技術者にはさほど人気がないけれど、デザイナーには多大な人気を誇るというのがチームラボの不思議なところですが…。
バックヤードの技術面というより、その表面的なエクスペリエンスの部分が面白いからだと思います。
インターフェースなんて無いに等しく、身体全体を使ってコンテンツに参加するところがウケがいいんでしょうね。
現状では、インターネットはどこにでもあって。
だがしかし、Wi-Fi が自分たちの住む街に完備されているわけでもなく。
やっぱり人は、つながりにくい。
最大の失敗は、繋がっていることを繋がっていると認識させてしまようなインターフェースでもあると思います。
それだと世の中はつまらない。
IoTは、八百万の神様のような、妖精のような存在で。
僕等は見えてないけど、確かにその恩恵を受けている。
そんなサービスがデザインされるべきだと思うのです。
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