デザインの概念には独創的な甘美さもあるのですが、整然としたロジックも存在します。
日常生活の中に何げなく潜んでいたり、生命のような神秘の中にも存在したり。
大工さんが使う定規が直角に繋がった形のもの、通称「さしがね」もデザイン要素の詰まった独創的で神秘な道具のひとつ。
デザインのロジックは数学の理論でもありますが、さしがねにはデザインの要素が詰まっているのです。
「指矩(さしがね)」は日本独自の文化で、外国の建築家にとっても珍しい道具です。
指矩(さしがね、まがりかね、かねじゃく、指金、差金、曲尺とも)は、工具の一種。ステンレスや鋼、真鍮などの金属製で目盛りがついており、材木などの長さや直角を測ったり、勾配を出したりするのに使われる。L字型をしており、両方の辺(長手と短手(妻手))に目盛りがある。また、内側にも目盛りがある。
Wikipedia によると「さしがねを十分に使えない大工が非常に増えており」という記述がありますが、利用の仕方は把握したが概念は理解していない、ということなのだと思います。高校数学が赤点で未だに数字や Excel に抵抗がある僕が言うのもなんですが。
この「さしがね」ですが、創意工夫でいろんな用途に使えます。
シンプルなだけに多用途に使えるという、設計思想の集大成のようなツールですね。
・目盛りの数字を合わせる → 45度の角度の線が引ける。
・ステンレスという素材の剛性を活かし、しならせて曲線を描く
・丸太の状態から、無駄なく何センチの幅の角材がとれるかの測定ができる
簡単にあげると、上記のような使い方があります。
日本には独自のA4、A3といった紙サイズにもみられる「白銀比(1:√2)」という数字の美学があるのですが、この比率は日本建築でも顕著に表現されるのは、この「さしがね」の影響でもあると考えられています。表の目盛りは 1cm 単位ですが、裏の目盛りは 1.414cm 単位になっており、白銀比での数字がすぐにとれるようになっているのです。
さしがねの直角部分を丸太の外周に当てます。さしがねの長辺と短辺が外周に重なる点を直線で結ぶと、その直線は丸太の直径になります(円周角は90度)。
なので、ここから裏の目盛りで測ると、丸太から切り出した木材の幅のサイズが簡単に出せるようになっています。
気づかなければ通り過ぎるような普遍的な形の道具ですが、このように数学的理論の詰まった便利道具にできているというのは面白いですね。
そして昔の職人さんが、業務の中でこれを発見しているということに尊敬します。
僕たちも仕事の効率を上げることができるように「気づき」をし、創造をしていくべきですね。
■さしがね、指矩、指がね、差し金、使い方|大工さんが作ったホームページ
http://www2u.biglobe.ne.jp/~tyouken/sumigi/sasigane.htm
■知っておくときっと役に立つ!さしがねの構造と使い方!! | Lifeなび
http://kagu-diy.com/diy/tool/sasigane
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