先日、「プラスチック貨幣」導入を検討していると噂になった英国ですが、英国内で実際に流通している硬貨のデザインが素晴らしいと有名です。
2008年夏より流通しているこの硬貨シリーズをデザインしたのは、当時26歳の Matthew Dent 。ウェールズ在住のグラフィックデザイナーです。
この硬貨のデザイン、一見すると紋章の描かれた通常の硬貨にしか見えないのですが、ジグゾーパズルのように並べ替えるとイングランドの国章の盾が浮かび上がるようにデザインされているのです。
王立造幣局 (Royal Mint) にて発行されている硬貨は、1ペニー・2・5・10・20・50ペンス、1・2ポンドの8種類である。 2008年より2ポンド硬貨を除いた7種類を統合的にデザインしたものに一括変更する旨が発表され、2008年夏から順次流通する。英国の紋章を各硬貨ごとに分けて描き、それを並べると一枚の画像となるようにデザインされている。1ポンドコインにはその全体像が描かれる。(Wikipedia より)
綺麗な1枚の絵にするには、距離感やバランスなんかが大切なのですが、この貨幣をデザインした Dent 氏のコンセプトとしては、酒場や学校など人が集まる場所で、この「貨幣のパズル」を楽しむ姿を想定しているようです。
画期的なアイデアのようなものではないのですが、このような表面上のデザインではなく、組み合わせて1枚の絵となる仕組みを考えたコンセプトデザインというのは面白いです。
週刊漫画の背表紙を並べると1枚の絵になっているというのもよくある話なのですが、硬貨でそれをやってしまうということが、英国という国の文化や風潮などをこえた、新しいものにチャレンジしようとする姿勢が見え隠れしますね。
日本だと、ちょっと実現しそうにないアイデアです。
何気ないゆったりした時間に、テーブルの上でコインのパズルをしてしまう。
子供たちがそこから、歴史や国に興味を持ってくるようなこともあります。
このコインのパズルには、表面的なビジュアルとしてのデザインというより、興味を持ってもらうためのもの、楽しんでもらうためのものといった感じに、設計思想があります。
いろんな意味でお洒落ですね。
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